大阪エヴェッサは「変わろうとしている」チームだ。昨シーズンを25勝35敗で終え、チャンピオンシップ出場も逃している。2024-25シーズンは藤田弘輝ヘッドコーチ(HC)が新たに就任し、外国籍選手もアジア枠を含めて4人すべてを入れ替えた。
【動画】ライアン・ルーサーの36得点目となる3ポイントシュート 大阪は10月の9試合を6勝3敗と悪くない戦績で乗り切り、26日・27日の連戦もホームでレバンガ北海道に連勝している。マット・ボンズ、アジア枠(フィリピン国籍)のレイ・パークスジュニアが彼らの「稼ぎ頭」だったが、27日の試合は新加入のライアン・ルーサーが36得点を決めた。
27日の北海道戦は「いきなり9失点」という最悪の出だしで、試合を通しても3ポイントシュートを強みとする彼らが「23分の5(21.7%)」という低い3ポイントシュート成功率にとどまっている。そんな難しい試合を90-84で勝ち切った立役者がルーサーだった。
ルーサーは29歳のアメリカ人。204センチ・102キロのパワーフォワードで、ボンズと組むときは5番(センター)も兼ねる。インサイドとしては機動力が高く、ゴール下に切れ込むドライブ、外からのシュートと多彩な得点パターンを持っている。守備面も大阪の高い強度、アグレッシブな戦術にマッチするタイプだ。
連戦を終えた北海道の小野寺龍太郎HCはこう悔いていた。
「ライアン・ルーサー選手に誰をマッチアップさせるか、試合を通して定まった形を作れず、中途半端になってしまった。彼のポップ(外に出ていく動き)からの3ポイント、キャッチ、ドライブ、1on1プラスフリースローとすべての形で簡単にやられてしまっていました。ボンズ選手、パークスジュニア選手とも比べた優先順位を考えながら、短い時間で準備をするのですが、彼の脅威をもっと強調すべきでした」
「3ポイントだけは打たせない」「インサイドへのドライブだけはさせない」といったメリハリをつけた対応ができれば結果は変わったのだろう。しかしルーサーが「すべての形」から得点を奪った。
ボンズ、パークスジュニアは過去に日本で過去に3シーズンプレーしている選手だが、ルーサーは今季が初来日。トルコ、スペインとヨーロッパの中でもレベルが高いリーグを経験していたとはいえ、Bリーグには特有の難しさがある。
27日の北海道戦に至るまでプレータイムは平均20分前後、得点も平均11.0点と「普通」の成績しか残せていなかった。
突然の覚醒について、藤田HCはこう述べる。
「ヨーロッパと全く違うリーグで、プレースタイルも彼に求められる役割も違います。ズレもあった中、毎日ハードワークし続けた彼の努力の賜物です。彼がああいう力を持っている選手と証明できてすごく嬉しいです。相手にとって本当に嫌な存在かなと思います」
一方でルーサーのコメントは謙虚だった。
「Bリーグの試合は“Back to Back”で(土日の連戦が)行なわれるので、体力とエナジーが必要だなと感じている。日本で初めてのシーズンなので、チームメイトやコーチからいろいろ学ぶ必要があり、それをしっかりと受け入れて習得するようにしている。今日ショットが決められたのは彼らのおかげだ」
さらに「自分としてはそこまで得点を気にしていない。アグレッシブにディフェンスをして、オフェンスはオープンショットをしっかりと打っていくところが自分の役割。毎試合毎試合、相手は変わっていくので、そこにしっかりとアジャストすることが大切」とチームファーストの姿勢を強調していた。
西地区は島根スサノオマジックが8勝1敗と走り、琉球ゴールデンキングスと大阪が6勝3敗で追う状況。11月2日・3日に琉球との直接対決を控える大阪にとって、ルーサーの覚醒は明るい材料だ。
取材・文●大島和人(球技ライター)
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