現地10月28日に開幕した男子テニスツアー「ロレックス・パリ・マスターズ」(フランス・パリ/室内ハードコート/ATP1000)に出場する世界ランク2位のカルロス・アルカラス(スペイン/21歳)が初戦に先駆けて行なわれた記者会見に登場。その中で同年代の世界王者ヤニック・シナー(イタリア/同1位/23歳)の強さを手放しに称賛した。
次代の“美しきライバル関係”を築きつつあるアルカラスとシナー。両者はツアーで過去10度対戦しており、アルカラスが6勝4敗とリード。今季も6月の全仏オープン準決勝を含めすでに3度対峙しているが、いずれもフルセットでアルカラスが勝利している。
今季は“アルカラスとシナーの年だった”と言っても過言ではない。というのもそれぞれアルカラスは全仏とウインブルドン、シナーは全豪と全米を制しており、最高峰の四大大会で若い2人が2度ずつ優勝を分け合ったからだ。
ただしここまでのタイトル数はアルカラスが4に対し、シナーは7。また通算成績も試合数の違いこそあるものの、前者は51勝10敗、後者は65勝6敗。現時点では勝率でもシナーがアルカラスの83%をさらに上回る91%という驚異的な数字を残しているのだ。
加えてシナーは優勝した10月の「ロレックス上海マスターズ」(中国・上海/ハード/ATP1000)で男女を通じてイタリア人選手初となる年間1位も達成。これらの記録を踏まえた上でアルカラスは「今年はヤニックの方が良かった」と潔く認めている。
「彼の方が良かったのは確かだ。僕が(今年だけで)ヤニックに3回勝ったことは重要ではない。おそらく僕がいくつかの大会で良いテニスができなかったということだろう。今年の勝率は非常に高いが、ヤニックは僕以上で、別次元だ。彼は91%以上の勝率を誇っている。これまでにそれを達成した選手はほんの数人しかいない」
目標に掲げていた自身2度目の年間1位は宿命のライバルに阻まれたアルカラスだが、とにかく今はまだ優勝のないパリ・マスターズで結果を出すことに集中したいと意気込みを見せる。
「(これまで)この大会では良いテニスができなかった。おそらく年末で疲れていたのだろうね。ただ今年は本当に良い準備ができたと思う。どうなるかはまだわからないけど、全体的に今年に入ってからは、(良い意味で)以前とは違った気分になっている。
自分が何をすべきかもわかっているし、最近は素晴らしい仕事ができている。だから、自分ではパリでも良い成績を残す、もしくは少なくとも昨年よりも上のラウンドに進む準備はできているつもりだ。結果を出すこと自体はそれほど難しいことではないと思う」
ちなみに今大会の第1シードはシナー、第2シードはアルカラス(共に1回戦免除)となっており、両者が順当に勝ち上がれば決勝で対戦することになる。なお初戦の2回戦でシナーはベン・シェルトン(アメリカ/19位)とコランタン・ムーテ(フランス/70位)のどちらかと、アルカラスはニコラス・ジャリー(チリ/37位)と顔を合わせる予定だ。
文●中村光佑
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