ソニー、空間再現ディスプレイ用SDK 2.4.0公開。最大4台構成のマルチディスプレイ設定が可能に

ソニーは、空間再現ディスプレイ(Spatial Reality Display)SDK 2.4.0をリリースした。同社Webサイトより無償でダウンロード可能。

空間再現ディスプレイとは、独自の高速ビジョンセンサーと視線認識技術により、画面を見る人の瞳の位置情報を把握し、立体映像をリアルタイムに生成して左右の目に届けられるディスプレイだ。大画面においても実在感のある高精細な立体映像の実現を可能としている。

2023年6月に発売を開始した27型空間再現ディスプレイ「ELF-SR2」

ソニーの空間再現ディスプレイは、「裸眼で見られること」「立体視の精度や再現性の高さ」「業務に使えるアプリケーション群の充実」を特徴としている。

特に従来では、3Dの立体映像を見るにはVRゴーグルやヘッドマウントディスプレイを必要としていたが、ソニーの空間再現ディスプレイは裸眼の視聴に対応した手軽さを大きなポイントとしている。加えてメガネの着脱の必要の手間も省けるうえ、昨今コロナ禍で特に配慮を必要としていた周辺機器への非接触という点においてもメリットだという。

マルチディスプレイ設定や視聴者ログ取得に対応

2024年10月29日に公開されたSDK 2.4.0では、3つの改善が行われた。

1点目は複数の空間再現ディスプレイ「ELF-SR2」を組み合わせて使うマルチディスプレイ設定に対応。2点目は視聴者ログを取得機能によって、定量的な効果測定が可能。3点目はアプリケーション開発の対応を強化した。

1点目のマルチディスプレイは、今現状27インチのディスプレイよりも大きな画面で立体映像を楽しみたいというユーザーからの要望の声を反映したものだという。今回のリリースで複数の空間再現ディスプレイの組み合わせることが可能になった。従来は1台のPCに対して1台の空間再現ディスプレイが対応としていたが、今回のSDKのリリースによって1台のPCに対して最大4台まで対応が可能になる。

複数台の組み合わせで人物や縦長のコンテンツを展開できる。リアリティのある体験を提供可能としている。

縦型は最大4台まで対応可能。人物など縦長のコンテンツに最適実際に目の前にいるかのようなリアリティのある体験を提供できる

横型では最大で3台まで対応が可能。よりワイドに広がる建築物に最適で、より没入感がある体験を提供できるとしている。

横型は最大3台まで対応可能。ワイドに広がる建築物などのコンテンツに最適としている。より没入感の高い体験の提供できる

グリッド型に関しては、2枚×2枚の展示が可能。より大きな迫力のあるコンテンツを投影してコンテンツの提供を可能にしている。

4台(2×2)でグリッド型が可能。おおよそ55インチ相当の大画面でより大きなオブジェクト表示に最適迫力のある視聴体験を提供が可能

マルチディスプレイ設定の実現に関しては、エンドユーザーが大画面で楽しみたいという声のほかに、エンドユーザーへ提供する会社側からも「もっと大きな画面で提供できないのか?」という強い要望があったという。そういう声も踏まえてニーズを反映した今回のSDKの提供に至ったとしている。

視聴者ログ取得は、ショールームや小売店舗での展示活用に有効なデータの取得が可能になる。視聴者数や視聴時間をデータとして記録できるようになる。展示会やイベントにおいてコンテンツの効果測定を行って、コンテンツの志向の定量的な把握につなげることが可能。こちらの機能はセンサーが検知した範囲での概算であり、必ずしも正確な値を保証しているわけではないという。

アプリケーション開発に関しては、Unreal EngineとUnityのプラグインの新しいバージョンに対応した。

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複数面連結のコンテンツを実現可能

発表会の会場には、最新バージョンのSDKを使った実機デモの展示が行われた。

マルチディスプレイ縦型の例では、最上部1面は2Dとそれ以外は3面連結の展示が行われていた。3Dキャラクターが突き抜けて立体で見える。4台すべてを3Dコンテンツの表示も可能。


縦バージョンの連結では、コンテンツをモニターごとに独立して表示もできる。

 
  


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マルチディスプレイのグリッド型の例。写真はCCUS(CO2回収、貯留、利用)をテーマにした三菱重工のCO2活用を空間再現ディスプレイで紹介した例。従来は大型模型を使用していたところを3Dモデルに置き換え、4台の空間ディスプレイで展示することで展示工数や輸送コストの削減や集客効果の高い展示が行えたという。