TOMOKAの「バトン書道」にうっとり
27日(日)も、特設ステージで書道パフォーマンスとトークショーの2つのイベントが行われました。スマイル・瀬戸、樋口みどりこによるMCのもと、13:00から開催されたのは「TOMOKAバトン&書道パフォーマンス」です。
書道とバトントワリングを融合させた「バトン書道」という、ダイナミックなフォーマンスが魅力のTOMOKA(竹田知華)。着物をモチーフにした、凛として華やかな衣装で登場します。
壮大な音楽に合わせ、バトンの両端に穂首が付いた独自の筆を使って真っ白な壁を力強く彩っていく様子に目が離せません。そのパフォーマンスは躍動感にあふれ、実に華麗で大胆。ときに筆を手持ちサイズに持ち替えて、エネルギッシュに、繊細に筆を走らせていきます。目の前で作品を創り上げるプロセスを、観客は息を呑んで見守っていました。いよいよクライマックス、真っ白だった壁面に、「彩」という筆字とともに、雄大で美しい孔雀が姿を現しました。
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アートを楽しむ秘訣は…?
27日(日)14:30からは、リリー(見取り図)と、大阪在住のアーティスト・井口舞子、山田HOWの3人によるトークショーが開催されました。美術の教員免許を持つリリーは、「Lmaga.jp」に「リリー先生のアート展の見取り図」の連載を持つほど美術に造詣が深く、美術鑑賞が趣味。
一方、井口は、主にアクリル絵の具と油絵の具を用いて日常と植物、自然物の作品を描くアーティスト。そして山田は、自分が描いたドローイングをシルクスクリーンで再構成するセルフコラージュ印刷作品で、独特の色彩感覚とシャビーシックな雰囲気の作品が魅力のアーティストです。
その3人が「アートの見方」をテーマに語り合うというもの。司会・進行はスマイル・瀬戸、樋口みどりこが務めました。
まずは今回出展されている作品を紹介。井口の作品は、日常の中に存在する希望や穏やかな気持ちがテーマ。山田は、看護師に着想を得た作品です。リリーはまず「2人とも、うまいですね!」とぼけながらも現代的な要素もあるし、バズりそう。アートも今はSNSで発信したり、そういうことも大事」と真剣に回答。「昔はひとりにハマればよかったけど、今は大多数にハマらないと。難しいですよね」とアートを取り巻く現状を語り合いました。
また、絵を鑑賞することも自分で描くことも好きなリリーが、絵を描く理由をこう話します。「僕の場合はお酒を呑みながら何も考えずに描くと、瞑想みたいにストレスが抜けていく感じがするんです。だから、作品をつくるというよりは、誰にも見せない、自分だけの、自分へのアートなのかも」。アートは身近にあると言い、「誰かに見せる必要はないので、人それぞれのアートを追求してほしいですね」と観客に語りかけます。
また、アートに詳しくない人がアートを楽しむにはどうすればいいかをディスカッション。井口は、「直感的に、色や形から、『これはなんだろう?』と見ていただけたらおもしろいのかな。人それぞれ、見たまま楽しんでもらえるのがいいなと思います」とのこと。山田は「私は『なんか好き』というところから入ることが多いんですけど、分析する前に『なんか好き』『温かい』と感じることで作者とコミュニケーションが取れていると思います」と答え、「そこからなぜ好きかを追求すると、鑑賞者の方の“核”にもたどり着けると思うので、ぜひ感覚を大切に、作品を見ていただけるとうれしいです」と話します。
これを受けてリリーは「学生の頃は(アメデオ・)モディリアーニとかめちゃ気持ち悪いと思ってたんですけど、今見たらめっちゃいいんです。自分の精神年齢によっても違うのかも」と思いを巡らせていました。来場者からの質問コーナーも設けられ、関心の高さが伺えます。アーティストとコンテストにまつわる話題では、アーティストも賞を獲れば、評価されて活動の場が広がるという点では「芸人に似ている」という結論に。さらに作品づくりの過程を明かす場面でも、「アートの作品づくりとネタづくりは似ている」という話で盛り上がり、共通点を見つけて共感し合う3人でした。
「人生を賭けて追求するのは幸せだけど大変なこと」
27日(日)のトークショー終了後に囲み会見が行われ、見取り図・リリーとアーティストの井口、山田が出席しました。トークショーの際に、「アーティストと芸人の境遇が似ている」という共通点を語り合ったことに対し、改めて「アートもお笑いも、答えは人それぞれ」とリリー。「おもしろいと思うことも違うし、美しいと感じることも違う。その追求を人生でやっていくって、幸せであり、すごく大変なことだと思うんです。だから僕はアーティストの方を尊敬してます」と話します。
井口は「お話を聞いて『なるほどな、近しいものがあるんだ』と驚きました」と目からウロコが落ちた様子。山田もネタ作りと作品づくりの類似点に共感したといいます。「自分の味を出したいと思いながら、まわりから『ああしたほうが』『こうしたほうが』とアドバイスを言われると、何を削って何を残すかと考えたりするのも共通点があるなと思いました」。
続けてリリーは「芸人の世界もアートの世界も、注目されるのは本当に一握り。僕らもまだまだ中途半端なんですけど、こうしたアート展に出展できていないアーティストさんの気持ちもわかるんで、がんばってほしいです」とエールを贈りました。また、お笑いの世界に入ったあともずっと美術を愛するリリーは「こんな形でつながってうれしいです。好きなことが仕事になるって幸せ。ゆくゆくは個展とかしてみたいです」と意気込みました。