リモートカメラと組み合わせて使えるフォトスタイルや専用のネットワークプロトコルに対応
――UBシリーズの気になる点は、やはりLUMIX時代に発売されましたBGH1、BS1Hとの違いです。最近発売されたLUMIX新製品には、像面位相差やProRes RAWの内部記録などの新しい機能を積極的に取り入れてきていますが、今回のUB50/UB10は、BGH1/BS1Hからどのような点が変わっていますか?
粟飯原氏:
まず変わった点で申し上げますと、先ほどの繰り返しになりますが、リモートカメラと同じシステムで使えるところです。専用のプロトコルに対応しておりまして、LANケーブル1本でリモートカメラと同様に色調整ができます。複数台のカメラを同時に運用する際に問題となるのが、画質の色味の調整です。そこで新しくリモートカメラに準じるフォトスタイルを標準装備します。そういったところが大きな変化点になります。
像面位相差やProRes RAWの内部記録などへの対応ですが、結論から申し上げますと対応していません。なぜかと申しますとProRes RAW対応の実現には、高速書き込みが必須になります。SDカードではスピードが不足しますので、CFexpressカード対応が必要になります。
CFexpressへの対応は、本体サイズの大型化は不可欠になりまして、ProRes RAW対応とサイズ感の維持は両天秤となります。その結果、UBシリーズのメインのユースケースは内部記録よりもリモートカメラと一緒にお使いただくことと考えています。
像面位相差も同様の話になりまして、熱の関係で小型のボディサイズを実現しにくい事情があります。そのためUBシリーズではサイズ感を重視する観点で、AFのフォーカス部分は従来モデルと同じものを採用しています。
――UBシリーズはリモートカメラとの連携の部分が強化した感じですね。
尾関氏:
そうですね。補足しますと、NDI HX2の対応予定でございますので、そのようなストリーミングのIPプロトコル対応のあたりもBGH1からアップデートされる予定にはなります。よりプロユースでお使いただけるシステムとなるところが、BGH1からの違いとなります。
――UB50とUB10の違いは、BGH1とBS1Hと一緒ですか?
粟飯原氏:
BGH1とBS1Hの関係が、このままUB50やUB10に当てはまります。もっとも大きな違いはセンサーサイズの大きさです。あとはBGH1とBS1Hの関係と同じです。
――センサーが違うところによる使い分けの何かポイントがあれば、教えてください。
粟飯原氏:
静止画の場合で言うと、フルサイズの方が絞りの浅い表現が可能で、静止画はボケを活かした印象的な静止画の撮影に対応します。動画の場合で言うと、先ほど申しましたようにフルサイズは絞りの浅い表現が得意な反面、複数の演者さんが登場するシーンでは絞りきれないことがあるかもしれません。そういった場面にはちょうどいいボケ感を表現できるマイクロフォーサーズを選んでいただくことにより、しっかり捉えた表現が可能です。
またボディのサイズはほぼ同じなのですが、レンズを含めたシステムのサイズになると、センサーサイズの小さいマイクロフォーサーズはレンズを含めたシステム全体をコンパクトにまとめられます。隠したい場合や目立たせたくない場合はマイクロフォーサーズをお勧め致します。
宮地氏:2モデルは、お値段の違いもあります。フルサイズのUB50よりもマイクロフォーサーズのUB10のほうが価格を抑えられます。台数を増やしたい場合など、用途に合わせて使い分けていただけることも可能です。
――最後に改めてUBシリーズのアピールや意気込みをお願いします。
尾関氏:
今回はシナジー商品の第一弾です。もともとLUMIXのBGH1のDNAをきちんと組み込みつつ、プロAVとコンシューマーイメージ側のシナジーを取り入れた第1弾の商品形になります。
粟飯原氏:
プロAVには、デジタルシネマ用4Kカメラ/レコーダー「VARICAM」で開発された「V-Log」などがありましたが、そちらはプロAV側から民生側に展開された技術です。それが今回組織が同じになり、より連携を加速させた製品の第一弾です。
宮地氏:
設計はコンシューマーにお願いして、エッセンスはプロAVの連携システムを取り入れました。これまでは完全に別々で開発をしていたものが、ポートフォリオの設計も含めてワンチームで行うようになりました。今後どんどん交わっていく商品が登場する予定です。
粟飯原氏:今後の商品展開に乞うご期待ください。