「日本列島カジノ化」で急増が見込まれるギャンブル依存症とは…「予算や時間を守れない」「嘘をつく」などの症状が

2024年の春、日本を騒がせたニュースといえば、大谷翔平の通訳だった水原一平の事件であろう。重度のギャンブル依存症である彼は大谷翔平の口座から不正に送金を行ったとして銀行詐欺罪などの罪に問われている。

酒やタバコのように「分かっちゃいるけどやめられない」というギャンブル依存症の深い闇を書籍『カジノ列島ニッポン』より一部抜粋、再構成し解説する。

大谷翔平氏の通訳も

「一平さんがその時、ミーティングの時にギャンブル依存症だと知らなかったですし、彼が借金をしていることはもちろん知りませんでした。僕は彼の借金返済に同意していませんし、ブックメーカーに対して送金をしてくれと頼んだことも、許可したことももちろんないです」

2024年3月25日(日本時間26日)、野球界のスーパースターで米大リーグ・ドジャースに所属する大谷翔平氏は、集まった約100人の報道陣の前で、こう声明を発表した。

「一平さん」が、大谷氏の通訳を務めていた水原一平氏を指すことは、ほとんどの読者が分かっていることだろう。水原氏は大谷氏の米大リーグ挑戦に伴い、2017年から専属通訳となる。投打二刀流で大活躍する大谷氏は2018年以降、米国から明るい話題を届け続けた。

大谷氏の人気が上がるにつれて、常に側にいる水原氏も知名度を高めた。彼は単なる通訳役にとどまらず、移動時には車の運転手役となり、グラウンドではキャッチボールの相手もしている。

打者専念となる2024年シーズンを前に、大谷氏は同年2月に結婚を発表。3月中旬に妻との写真を公開している。この時、大谷氏がアップしたインスタグラム画像には、ドジャースチームメイトの山本由伸投手のほか水原氏の姿も一緒に映っている。

大谷氏を献身的に支えているとされてきただけに同年3月下旬、水原氏がドジャースに解雇されたというニュースは、我々を驚かせた。さらに複数の米メディアが、彼が違法賭博に関与したと報道したのだから、なおさらだ。

水原氏は結局、大谷氏の口座から約1700万ドル(約26億6000万円)をだまし取ったとして銀行詐欺罪などで訴追された。そして、6月に米国の裁判所で開かれた罪状認否で、この訴追内容を認めている。

ここでは、水原氏問題の詳細を記すつもりはない。伝えたいのは大谷氏が述べたように、彼が「ギャンブル依存症」だという点だ。

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「分かっちゃいるけどやめられない」

水原氏も違法賭博がキャリアや名声、大谷氏との信頼関係を失わせる危険な存在であったことは、百も承知だったはずだ。訴追された金額が約1700万ドルであることを踏まえると、ある程度まとまった期間にわたって手を染めた結果、巨額な借金を背負ったと推測するのが自然だ。

水原氏も、何度も立ち直りを模索しただろう。それでも、できなかった。

「分かっちゃいるけどやめられない」

タバコ、アルコール、薬物を含め中毒性があるものから離れられないことを端的に指す言葉だ。水原氏も輝き続ける大谷氏の隣で、人知れずこの悪循環に陥っていた。

水原氏の一件は、ギャンブル依存症がもたらす人生の破滅を教えてくれている。「他山の石」としていくべき事例となるが、ギャンブル依存症者の支援団体らは、このずっと前から地道に啓蒙活動を続けている。

改めてその事例を紹介してから、カジノとギャンブル依存症との関係考察に移りたい。