EOS画質の3D/VR映像が撮影できる!
〜EOS VR SYSTEM「キヤノンRF-S 7.8mm F4 STM DUAL」世界最速レビュー Vol.38 [染瀬直人のVRカメラ最前線]

対応カメラのEOS R7に装着することで、EOS画質の3D/VR映像が撮影できるEOS VR SYSTEMシリーズ第3のレンズ「RF-S 7.8mm F4 STM DUAL」が登場。撮影した映像や画像は、専用アプリのEOS VR Utilityを用いて3D/VR形式に簡単に出力できるから、臨場感と立体感を併せ持った映像表現も手軽に楽しむことができる。本記事では、いち早くRF-S 7.8mm F4 STM DUALを入手、検証をおこなったレポートをお届けする。


RF-S 7.8mm F4 STM DUAL

概要

EOS VR SYSTEMは、2021年12月に登場したRF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE を皮切りに、EOS RシステムのカメラをベースとしたVR映像撮影用の交換レンズとVR変換用のアプリやプラグインから構成されるシステムである。

当初はフルサイズのカメラが対象で、最大8Kの高解像度と視野角180°の没入感溢れるVR映像が撮影できる仕様からスタートしている。その後、対応カメラの拡大やアプリのアップデートを重ねる中、今年の6月には、APS-Cカメラ対応のRF-S3.9mm F3.5 STM DUAL FISHEYEが登場。こちらはEOS R7との組み合わせにより最大4K対応、撮影画角を144°とするかわりに、取り回しが容易になり、VR初心者でも導入しやすい仕様になっている。

今回、発表されたEOS VR SYSTEMの3番目レンズであるRF-S 7.8mm F4 STM DUALは、小型・軽量で携帯性を備えながらも、高画質な3D/VR映像を撮影できるレンズとして開発されてた。これまでと同様に一つの鏡筒に2つのレンズが並列に配置されており、この視差を利用して立体的な映像の撮影を可能にしている。

現状、対応カメラは最新のファームウェアのEOS R7(Ver.1.6)である。左右のレンズを連動して制御し、1台のカメラの1つのイメージセンサーで記録することで、通常の映像と同様な感覚で3D/VRの映像を撮影することができる。

専用アプリのEOS VR Utilityからは複数の出力形式が選択できるので、VRヘッドセットで臨場感と迫力のある3D映像を体験したり、簡易的なスマホ対応の折りたたみ式VRグラス、カードボードや赤青メガネ等の視聴ツールを用いて、手軽に立体視を楽しむことができる。また、MV-HEVCに書き出して、Apple Vision Pro対応の空間ビデオとして生成、高品質な3D/VR映像を鑑賞することも可能である。

EOS VR SYSTEMシリーズのレンズ群。手前がRF-S 7.8mm F4 STM DUAL。左奥がRF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE 、右奥がRF-S3.9mm F3.5 STM DUAL FISHEYE

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特徴

RF-S 7.8mm F4 STM DUALは、画面全体において高画質な3D映像を実現するレンズとして開発されており、3D 180° 8K映像を超える画素密度(記録画素数/画角)で記録することが可能である。

これまでの2Dの映像表現では、被写界深度による遠近感、すなわち、ボケなどで立体感を表現していた訳だが、RF-S 7.8mm F4 STM DUALは、視差によって得られるリアルな立体表現をつくりだせる3Dレンズである。

IPD(レンズ間距離)が11.8mmと狭く設計されているので、近距離の被写体でも立体視が破綻せずに、迫力あるクローズアップの撮影が可能になっている。

一般的にVR撮影では、独特の撮影の作法が必要とされるが、RF-S 7.8mm F4 STM DUALは、AF機能の利用をはじめとして、従来の映像撮影に近い感覚で操作ができる。

専用アプリのEOS VR Utilityが用意されており、レンズやカメラのパラメーター、撮影のメタデータを活用することで、撮影した映像を最適化された3D/VR画像へと容易に生成できる。

EOS VR Utilityからは、「3D 180°」、「3D Theater」、「3D Spatial(Mac版のみ)」と、公開方法や視聴の用途に合わせて、書き出し形式を選択できる。RF-S 7.8mm F4 STM DUAL+R7によるEOS VR SYSTEMは、Apple Vision Proフォーマットに公式に対応している。

RF-S 7.8mm F4 STM DUALを各アングルから見る

RF-S 7.8mm F4 STM DUAL+EOS R7で撮影した写真を、各出力形式で書き出した。

3D 180° 静止画

3D Theater(8:9) 静止画

3D Theater(16:9) 静止画