レンズ性能とR7とのコンビネーションについて
RF-S 7.8mm F4 STM DUALは、レンズ単体で約131gと大変軽量に設計されている。EOS R7と組み合わせた場合でも約743gなので、かなり機動性が高いシステムと言えるだろう。
光学系の特徴としては、プリズムを用いないストレート方式が採用されており、小型の筐体の実現にも貢献している。EOS Rシリーズのメリットであるショートバックフォーカスと、さらにはUDレンズ2枚を効果的に配置することで、高画質な3D映像を達成。広角画面の隅々にまで、高い描写性能を保持する光学的設計が施されている。 EOS R7との組み合わせによる4K映像は、3D 180°の8K映像を上回る画素密度で記録される。
2眼が連動する仕組みの光彩絞りは、 従来のレンズ同様に被写界深度の調整も可能であるから、左右の視差に加えて、背景の自然なボケによる立体感も表現できる。最短撮影距離は15cm、画角は64°である。RF-S3.9mm F3.5 STM DUAL FISHEYE同様に、ギアタイプSTMが搭載され、左右のレンズが連動するオートフォーカス機構になっている(ワンショットAF/サーボAF)。また、ピント左右差調整モードスイッチが搭載されており、フォーカスリングの操作によって左右のレンズのピント調整も容易だ。
レンズの前面には、58mmのスクリュータイプフィルターを装着できるので、R7で日中にCanon Log3(10bit)で撮影をおこなう場合など、NDフィルターを使った露出のコントロールがスムーズにおこなえる。
記録された映像、画像は構造上、左右の配置が逆に記録されるが、アプリによる変換で、自動的に正常な配置に戻る。
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撮影のポイント
カメラコントロールや設定は、EOS UtilityやCamera Connectを用いたリモート撮影が可能である。ライブビューをパソコンやスマートフォンの画面に表示させ、遠隔からAF箇所の位置設定はもとより、左右画像の入れ替え表示、クロップガイドライン表示等がおこなえる。
撮影のポイントとしては、被写体にもよるが、真正面よりも少し上から、また真上よりも少し斜め方向から撮影すると、より立体感を出しやすい。最も立体感を出せる撮影距離は、カメラから15~50cmの位置である。接近して撮影することで、小動物など小さい被写体も、立体視の視聴で飛び出すような3D効果が得られるだろう。基本的に、被写体との距離が遠い場合、立体感は薄れてしまう。その際は、前景や背景に、何か比較対象となるオブジェクトを配置することで、立体感を演出することができるだろう。
立体感を狙うためには、自ずと近距離撮影が多くなるので、カメラの安定性の確保が重要になる。今のところ、アプリの手ブレ補正機能は未対応となっているから、三脚による据え置きの撮影が好ましい。手持ち撮影は、手ブレが目立つので、なるべく避けること。移動撮影も立体視の破綻や視聴時の酔いにつながる恐れがあり、難易度が高いと言える。