編集のワークフロー
対応しているアプリケーションは、専用のEOS VR Utility Ver.1.5とEOS VR Plugin for Adobe Premiere Pro Ver.1.5だ。これまでのEOS VR SYSTEMと比較すると、魚眼形式からの変換がない分、幾分、ポストプロダクションの時短が図れる。EOS VR Utility でおこなうことは、左右の画像の入れ替え、レンズ補正(視差補正、水平補正)、プレビュー表示と出力範囲の指定、書き出し等である。RF-S 7.8mm F4 STM DUALは、画角的に他のEOS VR SYSTEMのレンズのような隣のレンズの映り込みはないが、周辺のフェードやイメージサークル外の光もれ対策として、EOS VR Utility 側でマスクが自動的に付与され、任意のレンズマスク機能は、非アクティブ扱いになっている。
EOS VR Utilityは、3D 180°の形式や3D Theater形式、さらには、Appleの空間ビデオのためのSpatial Video形式など、様々なフォーマットへの出力に対応している。ただし、プラグインは、3D 180°の形式のみの対応となる。
- 3D 180°
撮影したままのノンクロップの状態の広角のアングルを活かして、没入感と立体感を併せ持った映像を生成することができる。また、NLE編集時に、好きな画角に切り出して利用するなどの活用法が考えられる。 - 3D Theater(8:9)
スマートフォンの再生アプリ上で左右2分割に表示し、主に簡易視聴型VRグラスやカードボードを利用して、立体視を気軽に楽しむことを想定したフォーマットである。 - 3D Theater(16:9)
HMDで視聴した場合、フラット→サイドバイサイドで表示させることで、劇場で3D映画を観るような立体感を楽しめる。 - Spatial Video(1:1)
Apple Vision Proフォーマット対応。各フレームにおいて圧縮された左右(片目の映像+差分)のデータを含む。3D映像を効率的に圧縮するフォーマットである(EOS VR Utility Ver.1.5のMac版のみ。Apple Silicon搭載のMac OS14.4以上であることが要件。現在、空間写真は未対応)。
(広告の後にも続きます)
再生・視聴について
RF-S 7.8mm F4 STM DUAL+R7で記録した3D/VR映像の視聴は、できればVRヘッドセットによる体験が理想的である。
筆者の検証では、ローカル再生の場合、DeoVRのプレイヤーを利用することで、動画、静止画共に立体視が良好に表示される。
コンテンツを共有する場合は、YouTubeが3D表示に対応しているため、最も一般的なプラットフォームと言えるだろう。
撮影したファイルをアプリに読み込み、3D Theaterとして書き出してYouTubeにアップすれば、3Dのファイルとして認識されアナグリフ表示となるので、それを赤青メガネで視聴すると、気軽に立体感が楽しめる。
3D Theater(8:9)でアップした動画作品は、スマホのYouTubeアプリ(android)のVRゴーグルのボタンをタップすることで、左右に分割表示され、それを簡易的なVRグラスやカードボード等で視聴すると、手軽な立体視が可能となる。
3D Theater(16:9)をアップした動画の場合、HMD内のYouTube VRアプリではなく、WebアプリのYouTubeの方で再生すると、良好な立体視が可能になるようだ。
3D 180°で出力してYouTubeにアップしたコンテンツなら、VRヘッドセットのYouTube VRアプリを利用することで、没入感と立体感を併せ持った体験ができる。
また、VR向けプラットフォームのDeoVR上に投稿することで、上記のいずれのフォーマットも、動画/静止画共に良好に3D表示されるので、お勧めである。
3D Spatial Video(1:1)で書き出したファイルは、Apple Vision Proで空間ビデオとして再生できる。EOS VR Utility Ver.1.5のMac版には、まだ空間写真の出力が実装されていないが、早期の対応に期待したい。
3D 180°
3D Theater(8:9)
3D Theater(16:9)