健康に悪い食べ物② 白い炭水化物
「白い炭水化物」とは、白米、うどん、パスタ、小麦粉を使った白いパンなどの「精製された炭水化物」のことを意味する。
精製とは、食べにくい部分や食味の悪い部分を取り除くことで、米ならばぬかや胚芽などを取り除く精米のことを指す。
白い炭水化物は砂糖ほど甘くはないが、身体の中で糖に分解・吸収されるので、白い炭水化物と糖は本質的には同じものだ。
科学的には「白い炭水化物≒糖」である。つまり白いご飯も甘いお菓子も、身体にとっては似たようなものなのである。
白米に代表される「白い炭水化物」は、血糖値を上げ、糖尿病や、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化による病気が起こるリスクを高める可能性があることが多くの研究で報告されている(今から紹介する研究では、白米や玄米の摂取量をグラムで表現しているが、ご飯は茶碗に軽く盛ると1杯で約160gで、大盛りにすると約200gとなる)。
まずは糖尿病である。白米の摂取量が多ければ多いほど糖尿病のリスクは上がることが分かっている。
2012年、世界的にも権威のある英国の医学雑誌『BMJ』に、白米と糖尿病の関係に関する4つの研究の結果をまとめた論文[*5]が発表された。
それによると、白米の摂取量が1杯増えるごとに糖尿病になるリスクが11%増えるとされた。
日本でのエビデンスも見てみよう。
前述の論文でもデータの中の1つとして用いられているが、国立国際医療研究センターの南里明子氏(現在の所属は福岡女子大学)らが行った日本人のデータを用いた研究[*6]によると、日本人においても白米の摂取量が多ければ多いほど糖尿病になる可能性が高くなることが明らかになった(図3)。
論文では、男性では白米を食べる量が1日2杯以下のグループと比べて、1日2〜3杯食べるグループでは5年以内に糖尿病になるリスクが24%高いことが明らかになった。
その一方で、ご飯を1日2〜3杯食べる人と、3杯以上食べる人たちで糖尿病のリスクは変わらなかった。1日2杯が糖尿病のリスクが上がりはじめる境界だと考えられる。
女性ではもっとシンプルで、白米を食べる量が多ければ多いほど糖尿病のリスクが高くなる。白米を1日1杯しか食べないグループに比べて(最も少ないグループの白米摂取量が男女で違うので注意が必要)、1日2杯食べるグループでは15%、3杯食べるグループでは48%、4杯以上食べるグループでは65%も糖尿病になるリスクが高くなることが分かった。
ただこうした解釈は、白米の摂取量の推定が正確であることを前提としたものだ。白米の摂取量は自己申告であるため、記憶違いや罪悪感からの過少申告がある可能性がある。
さらには、1日1時間以上の筋肉労働や激しいスポーツをする人には、統計的に有意な関係が見られなかった。
これらのことを踏まえると、白米を食べる量が多い人ほど、糖尿病になってしまう確率が高くなる傾向が確認できた、というざっくりとした理解に留めるのが無難だろう。
個人的には、白米を食べる量は控えめにするのが良いと考える。
糖尿病の家族歴があると糖尿病になる確率はさらに高まるので、リスクを下げるためにもできるだけ白米などの白い炭水化物は減らした方が良いだろう。
どうしても白米を食べたい人は、毎日1時間以上の激しい運動をすることで、糖尿病のリスクを上昇させずに済むだろう。
ちなみに、2016年に『BMJ』に報告された複数の論文を統合した研究[*7]によると、白米の食べすぎは糖尿病のリスクを上げるものの、がんのリスクを上げることはなかった。
(広告の後にも続きます)
健康に悪い食べ物③ バターなどの飽和脂肪酸
油にも健康に良い油と、健康に悪い油がある。一般的に、常温で固形で、乳製品や肉などの動物性の脂肪のことを飽和脂肪酸という。
一方で、常温で液体で、植物に由来する油のことを不飽和脂肪酸という。
健康に良い油の代表格が不飽和脂肪酸のオリーブオイルであるのに対して、健康に悪い油の代表はバターなどの飽和脂肪酸である。
バターの摂取量が多い人ほど、わずかであるものの死亡率が高いということが複数の研究をまとめた研究[*8]で報告されており、バターは健康に悪い食品であると考えられている。
たまに楽しみとして嗜むくらいであれば問題ないと考えられるものの、日常的に使う油に関してはオリーブオイルなど植物性の油にすることをおすすめする。
図/書籍『あなたを病気から守る10のルール』
写真/shutterstock