【テニスギア講座】用具を買うのは通販か、お店か、どちらがいい? それぞれの長所短所を知って使い分けよう<SMASH>

 今回のテーマは「テニス道具をどこで買うか?」です。手軽さが売りの通販と、確実に品定めできるお店…どちらを選ぶべきでしょう?

 この10年くらいの間に、世の中は大きく変わってきました。際立って変化したのは「買物の仕方」です。インターネットの社会的な普及により、通信販売がものすごい勢いで広まりました。それがテニス道具の購入方法にも、大きな影響を与えています。

 流通構造の変化により、どこにいても希望の商品が手に入るようになったのはうれしいことです。店が遠くて買物に行けない場所でも、クリックするだけで素早く手元に届くのですから、地方に住む方や、時間的に都合がつかない方でも、手間をかけずに購入できる世の中になりました。

 また、これまでのお店の在り方も再検討されるようになってきました。従来、自分がテニスで使う道具は「自分の目で確かめて、実際に触れてから選ぶべき」とベテランの方は言っていましたが、通販で十分に事足りることもある時代になりました。でも、全てが通販で済んでしまうわけではないということを、賢いテニスファンはわかっていなければなりませんね。
  ここでは「通販店舗」と明確に区別できるように、ショップのことを「実店舗」と記します。

 実店舗購入と通販購入、何をどのように購入するかによって、それぞれにメリットとデメリットがあります。それは場面によって違うので、一概には言えません。

 実店舗購入では、お店まで足を運ばなければならず、時間や交通費がかかります。でも、実物を細かな部分まで見て選ぶことができ、素材の質感や重さ、使用した時の感覚まで想像することができます。また、店員さんからの生情報も、ベストな購入のための参考になるでしょう。

 いっぽう通販購入では、商品は画像でしか確認できず、詳細まではわかりません。しかし自宅にいて購入を決断・手続きでき、どこにいても素早く届けられるので、距離感の概念なく、手に入れることができます。

「楽な購入方法」を選ぶか「確実な購入手段」を選ぶかは本人次第ですが、テニス道具に限って言えば、「買う物」や「買うタイミング」によって、賢く使い分けるのがいい! と言えるでしょう。
  例えばテニスシューズを購入する場合は、最初にサイズや履き心地などの「フィッティング」が必要です。新しいモデルを買う場合は、たとえ前作同名モデルを使っていたとしても、細かな点が変更されている場合もあるので、必ず実店舗でフィッティングすることを勧めます。

 でも全く同じシューズを、モデルチェンジされる前にもう1足買いたい! という時には、通販サイトを利用しても問題ないですよね。工業製品ですから、ほぼ完全に同じ物が手に入るでしょう。

 でもラケットは、同じ機種・同じ商品として売られていても、微妙な重量・バランス・スイングウェイトなどが違い、通販では“今使っている物と全く同じ物”を手に入れることは不可能です。「自分はそこまで気にしないから」という方ならいいんですが…。

 ゲームシャツやウォームアップなどのテニスアパレルも、最初の1着、実物を目で見て、手で触れて、サイズ感を確かめて…というのが望ましいですね。

 一般着を通販で購入する方はすごい勢いで増えていますが、テニスウェアは「動くこと」を前提に設計されていますから、動きやすいかどうかが大きな問題です。ネットでもサイズについて詳しく記してあるケースもありますが、シルエットが細みなのか余裕があるのか? 生地の素材感はどうか? など数字だけではわかりにくいものです。届いた物を見てガッカリしないよう、初めて買う物は、実物を見て触れて確かめたいですね。
  実店舗購入も通販購入も、それぞれに一長一短があります。我々が心得るべき「できるだけ失敗のない、上手な買い方」は、便利さだけに偏らず、買おうとする物によって、どちらが適しているか・自分のためになるかを判断して使い分けることです。

 ここでお勧めしたいのは、何を買うにしても、最初は「実店舗へ足を運ぶこと」です。色んな物を自分の目で見て、手で触れてみて、それぞれの細かな違いをインプットしてください。そして、ショップスタッフの知識やアドバイスも参考にしながら商品を選び、購入しましょう。

 個体差がない物の再購入であれば、手段としてネット通販を使うのもいいでしょう。実店舗で買う物、ネット通販で買う物、賢く使えばハッピーです。

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2023年4月号より抜粋・再編集

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