「パパの共感も得る番組作り」
『夫が寝たあとに』が支持される理由の2つ目は、「夫を敵としない」作りになっている点だ。
番組では子育てに関する様々なエピソードが語られるが、夫への不満で盛り上がるということは少ない。また、お笑いコンビの霜降り明星のせいやなど男性芸能人をスタジオゲストに招いて、パパ目線での育児にフォーカスする回もある。
横澤「(この番組は)夫婦で見たら、夫婦の間での話の種になりますよね」
藤本「内容によっては男性が敵になるときもあるんですけどね(笑)“なんで、子どもにちゃんと怒ってくれないの~!”って(笑)。でもそこも、共感できるポイントだったりするのかなって思います」
横澤「夫婦生活を続けていく上で、不満だけを言って終わることはできないですよね。“これ以上は言わないでおこう”みたいなこともあったり(笑)。そういうリアルもすごく詰まってる気がします」
藤本「夏にイベント(『夫が寝たあとにママ会ライブ~夏休みもお疲れさまスペシャル~』2024年8月7日開催)をやったんですけど、ママだけではなくて、パパもたくさん来てくださったんです。ベビーカーがいっぱい並んでいて、世界一幸せなイベントだなぁって感じました」
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実はターゲットは全世代?“子育て”は最強の共感テーマ
今回、取材を行うため収録現場に足を運んだところ、3つ目のポイントともいえる大きな気づきがあった。
一見、ターゲットを限定しているように思われる「子育て」というテーマが、実は多くの人の共感を得られるものであるという点だ。
まず、ひとくちに「子育て」といってもそのは長い。赤ちゃんや小さな子どもはもちろん、高校生、大学生、そして就職しても、親にとって子どもは子どもである。どんな時期になっても、子どもの接し方に関する悩みは尽きない。
今回、見学した収録のトークテーマは「反抗期」。
番組では街頭インタビューも行っているが、そのなかに反抗期を過ぎた子どもを持つ方が「懐かしい。今となっては良い思い出」と語るシーンがあった。そう、子育てにまつわるエピソードに共感するのは、真っ中にいる当事者だけではないのだ。
さらには言えば、子育てをしたことがない人であっても、自分が育ってきたなかでの経験はある。
若い世代の利用が多いといわれるTikTokで動画の再生数が500万回を超えるのは、子育て経験のない人の共感を得ている証明ともいえるだろう。
反抗期にまつわる様々なエピソードを聞いていると、「自分が反抗期だったとき、どんな態度をとっていただろうか」「そのとき、親はどんな思いをしていたのだろうか」と思いをはせてしまった。
子育てというテーマの奥深さを、藤本も次のように語る。
藤本「芸能人とか芸能人じゃないとか、いろんな家庭の事情も関係なく、子育てをしている人には共通の話題で、同じ悩みや達成感などがあったりする。そして、子育てをしてない人もどこかしらで共感できる部分が、男女問わずあると思いますね」
ヘアメイク:氏家恵子(藤本美貴)、豊田小百合(横澤夏子)
スタイリスト:大瀧彩乃(横澤夏子)
取材・文/羽田健治