2024年で放送35周年を迎えた『天空戦記シュラト』が、上映会を催されるなど盛り上がりを見せています。美形の少年たちが多数登場することで、女性層にも多くのファンを獲得したという本作を振り返りましょう。



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【画像】こちらがいまに語り継がれる『シュラト』TVシリーズクライマックスです

密教やインド神話をベースにした壮大な世界観の物語!

 1989年から90年にかけてTV放送されたアニメ『天空戦記シュラト』は、今年でちょうど35周年です。35周年を記念してHDリマスター化や「バンダイチャンネル」での配信も行われ、にわかに盛り上がりを見せています。

 本作は、異世界である「天空界」で「神甲冑(シャクティ)」という鎧を装着した若者たちが入り乱れ、闘い続ける物語です。密教とインド神話をベースとした独特の世界観を持っており、極めて高い人気を誇った作品でした。

 特に当時のファンが注目していたのが、本作に参加した気鋭の若手声優陣です。主人公の「修羅王シュラト」は、アニメ『赤い光弾ジリオン』の「JJ」役で人気が沸騰していた関俊彦さんでした。そのように数々の熱血系主人公役で活躍していた関さんが、いまでは『鬼滅の刃』で悪の極みともいえる「鬼舞辻無惨」を見事に演じていられる姿は、声優という仕事の奥深さを感じさせてくれます。

 このほか『ジリオン』からは、「チャンプ」を演じた井上和彦さんが「迦楼羅王カルラ」、「アップル」を演じた水谷優子さんが「蓬莱山のラクシュ」と、主要な役どころで起用されていました。

 また、本作は膨大な数の作品でさまざまな役を演じている子安武人さんのデビュー作であり、「夜叉王ガイ」を演じています。子安さんのガイがしばしば口走っていた「シュラト……殺す!」という台詞を、ご記憶の方も多いのではないでしょうか。

 ほかにも林原めぐみさんや山寺宏一さん、飛田展男さん、堀内賢雄さん、鈴置洋孝さんなど、多くの実力者、気鋭の若手声優が数多くキャスティングされています。水谷さんや鈴置さんは残念ながら他界されてしまいましたが、今なお活躍を続けている方が多いのも、『シュラト』に集った声優陣の実力の高さを示しているでしょう。

 なお、本編は比較的シリアスなストーリーが展開されるものの、OVAとして制作された『天空戦記シュラト 天空界メモリアルズ』やドラマCDなどではギャグ成分たっぷりの掛け合いが展開されます。TV放送終了後も新たな作品が作り続けられた点も、『シュラト』の人気の高さを裏付けているといえます。



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残念だった作画崩壊

 そして『シュラト』を語る際に避けて通れないのが作画崩壊です。アニメを観ていて「初めて作画崩壊に遭遇したのが『シュラト』だった」という方も多いのではないでしょうか。

 2クール目まではキャラクターが良く動いていた作品なのに、3クール目に入ると急にキャラクターが暗い色になったり、動きがカクカクするようになったりしたのです。セリフだけはしっかりしているので物語の内容はわかるものの、シリアスなセリフのさなかに出来の悪い紙芝居がちょっと動くような状況で、「なんだこれ?」と愕然としたことを覚えています。

 原因は、3クール目の原画や動画を海外に多数、発注したからだという説がありますが、詳しい理由は不明です。35周年を機に明かされることはあるのでしょうか。

 ちなみに本作は当初、『聖闘士星矢』や『鎧伝サムライトルーパー』などの「美少年鎧モノ作品」として企画されたといいます。ところが当時はミニ四駆が人気だったため、メインスポンサーのバンダイから「ミニ四駆」を入れるようにと指示が出たそうです。シュラトたちが普段、シャクティを移動用の「神甲機(バルダ)」状態にしてサーファーのように乗っているのは、ミニ四駆を連想させるためのものだとか。

 なお、実際にバンダイからはシュラトとガイ、「天王ヒュウガ」と「龍王リョウマ」のプラモデルが発売されており、シャクティを外すとミニ四駆の「ハイパーレーサー4WD」に装備できるギミックも用意されていました。当時のデザイン技術を考えると驚くべきことではあるものの、ヒットはしなかったようです。

 2024年11月23日に開催される35周年を記念した上映イベントには、シュラト役の関俊彦さんや、ストーリーや設定を担当したあかほりさとるさんなど、豪華なゲストの登壇が予告されています。チケットは販売開始からほんの数分で売り切れており、「シュラト」の人気は今も健在であることがうかがえます。

 きっとイベントの当日は、会場から35年の想いを乗せた「修羅 マッハ拳!」と声を合わせて叫ぶ光景を見ることが出来るのではないでしょうか。筆者は残念ながら争奪戦に敗れてしまいました。参加できた方々は、ぜひ楽しんで来てください