形状の違い
また、手持ち撮影の場合を考えると、ミラーレスフォト機とビデオカムコーダーの形状にも決定的と言える大きな違いがある。
一般的なカメラでは、どちらもカメラをホールドするためのグリップが右手側にある。
そして、ミラーレスフォト機はそのグリップを横から握って人差し指でRECボタンを押すのに対して、ビデオカムコーダーは下から握って親指でRECボタンを押すものが多い。
これは、撮影中のカメラの安定に大きく影響する。
下から手を差し込んで支えるビデオカムコーダーの場合、親指はREC操作のためにカメラから浮かせても、他の指にかかる負担は比較的少ない。
だが、横からカメラをホールドするフォト機などの場合、REC操作のために人差し指をカメラから離すと、中指、薬指、小指にかかる負担が大幅に増える。
それでも、フォト撮影のように一瞬の静止や、動画撮影でも短いカットを短時間で撮影するなら問題ないかもしれないが、長時間の撮影となるとその疲労は腕や指に確実に蓄積されていく。
結果、REC中にカメラが揺れたり、撮影後に疲れを感じるケースも多い。
このように、ビデオカムコーダーはその形状においても、如何に最小限の労力で最大限の効果を発揮するかを追求しているのだ。
ここまで、何故ビデオカムコーダーを待望する声が絶えないのかを考察してきたが、前述の違いが、カメラの優劣を決めるものではないことは、改めて伝えておきたい。
もちろん、シネマカメラやミラーレスフォト機が描写する世界観は、ビデオカムコーダーでは表現できない場合が多いし、シネマライク、フィルムライクな質感も求めるシーンも多い。
要するに、自分が撮りたい映像や要求される機能に沿って正しい機材を選択するためのヒントとして、それぞれの機能や特徴を知ることが重要なのである。