※本記事は’23ー24季に展開したものをリメイクしています
スキン(シール)はリフトのないバックカントリー(BC)でスキーをつけたまま移動するために欠かせないアイテム。スキンに使われている素材や、素材の組み合わせ方、毛足の長さでその性能は異なってくる。また、登高をより快適にするために軽量化の工夫なども施されている。どのようなことに着目して選べばよいだろうか。
スキンの役割
スキーをつけたまま雪の斜面を登っていくことを可能にするのがスキン。シールともよく呼ばれている。スキーのソールに装着する毛のついたシートのようなもので、毛の素材と雪との摩擦によって雪の斜面を登高できる。BCに必要なさまざまな装備のなかでも、「スキーの次に大事」という専門家も多い。これひとつで山での行動が大きく変わるという意味では、これも命にかかわる重要なギアなのだ。
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スキンの仕組み
雪面に接する面の毛の部分には、大きく分けてモヘア・ナイロンの2つの素材が使われている。それぞれの使用の分量(配合率)でスキンの特性が変わってくる。
① ナイロン
登高時のグリップ性能に優れ、雪面をしっかりと捉えて進める。歩きやすくなるのでハイクアップに慣れていない人や、重い荷物を背負っての行動が多い場合は、ナイロンが多く使われているものを選ぶと良い。
② モヘア
アンゴラ山羊の毛足から作られたモヘアは、毛足が柔らかく滑らか。そのため登高時のグライド性能に優れ、スムーズな足の運びができる。モヘア100%のものは推進力が高く、踏み出す一歩の距離が長くなり、より早く目的地に着けることになる。同時に足にかかる負荷が低いので疲れにくいのも利点だ。また、ツアーでは登るばかりでなく、山肌に合わせて少しの距離なら下り降りることもあるので、その際は滑りやすくて便利という面もある。また、モヘアはナイロンに比べてやや軽量なため、持ち運びにも便利だ。
一方で雪面へのグリップ力は、ナイロンに比べるとどうしても落ちる。急斜面では、BC経験者・滑走上級者はさほど問題ないが、BC初心者は滑って転んだりすることも。モヘアにナイロンの割合を入れていくことで、グリップ力が向上していくため、モヘアとナイロンの混合タイプが今は中心になっているのだ。
③ ミックス
モヘアとナイロンを混ぜ合わせることで、グリップ・グライド性能を兼ね合わせた理想形を求めたもの。配合の比率は、「モヘア70%、ナイロン30%」「モヘア65%、ナイロン35%」などさまざまだ。いずれもグライド性能、グリップ性能も高く、ナイロン100%より軽量で嵩張りにくい、しかも耐久性も高いものが多いなど、モヘアとナイロンの利点が上手く融合されている。バランスに優れ、扱いやすい製品が多いので、プロからBC初級者まで幅広いユーザーに好まれている。