ホークス一筋25年、チームを支えるベテラン打撃投手が明かす“打ちやすいボール”とは? 試合前のバッティング練習の本当の目的

やりたいことをやってもらう

プロのバッターは、よほどの不調期でない限り、感覚と動作の修正はすぐにできます。あとは調子の良し悪しを確かめるために、やりたいことをやってもらうこと、別の言い方をすれば、気持ちよく打ってもらうことが大事です。

そうならば、打撃投手が投げるべき「一定の場所」は、バッターが打ちやすそうにしている場所ということになります。

私の場合は、その「一定の場所」がどこなのか、打者の打ち方や反応を見ながら決めています。他の打撃投手がどうしているのかはわかりませんが、バッティング練習自体で打撃投手とバッターとでコミュニケーションを取っているという感じはあります。

一流のバッターになればなるほど、バッティング練習ではひとりの世界に入り込んでいますので、こちらとしてはより集中力を高められるように、邪魔をしないようにと気を使うところもあります。「一定の場所」としてどこを狙って投げるのがいいか、バッターの様子から感じ取ることも打撃投手の仕事のひとつだと思います。

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職業・打撃投手

濱涯泰司

2024年10月9日発売990円(税込)176ページISBN: 978-4-8470-6708-2

打者に「気持ちよく打ってもらうこと」が役目の打撃投手。常に同じ軌道にボールを投げる再現性が求められる。そんな精密機械のような仕事を選手から転じ、25年間続ける男の矜持とは——。

・マシンと投手との役割分担
・打撃投手の仕事は打ちやすい球を投げること
・柳田は打撃練習で雰囲気が変わる
・工藤監督には「成績表」を提出していた

……など、ホークスを支えてきた打撃投手が、その仕事の全貌を余すことなく語る。選手から転向する際の葛藤や小久保、柳田など数々の大打者たちを「育てた」エピソードなど、プロ野球ファン垂涎の一冊。