「冷酷と激情のあいだvol.219〜女性編〜」では、婚約者である53歳のハヤトさん(仮名)の母親との距離感に不安を抱く佳奈さん(46歳・仮名)の胸中をお届けしました。 ハヤトさんの母親は息子が留守中の家に入り、甲斐甲斐しく家事をしている状況。ハヤトさんはどう受け止めているのでしょうか。

高望みはしないけれど、本音は…



介護のことも考えると…(写真:iStock)

 その最大の理由は?

「年齢ですよ、年齢! 僕は50代、両親も80代ですから。これから介護とか色々考えると、人手は多いほうがいい。

 佳奈も結婚後は自分の実家よりも、ウチの実家との付き合いを優先するでしょう。当然ですよね。そもそも彼女の実家は新幹線で2時間の距離ですし。

 今後を考えたら、佳奈がもっと僕の母親と親しくなってくれないと困りますけど。

 まぁ、贅沢は言いません。自分の年齢を考えると、高望みをしちゃいけないっていうのはわかっているし。

 もうね、このトシになると『結婚する』となっても、冷静に現実を見ちゃうわけですよ。だから僕は再婚が決まった今も浮ついた感情なんて、これっぽっちもないですね!

 結婚すれば、僕から意見しやすくなりますし。佳奈の考え方について僕が正してあげるしかないでしょうね」

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 恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。

 まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。

(並木まき/ライター・エディター)