35歳から婚活を始めたエンタメ関係の仕事をする東海地方出身の男性・ミヤさん(仮名)。これまで結婚にあまり興味がなかったが、この年齢を境に婚活を始めたという。きっかけになったのは、35歳で発症した脳梗塞だ。仕事上、週に3、4回くらいは徹夜することが当たり前の環境だった当時、職場で突然倒れて救急車で運ばれてしまった……。
仕事場で倒れて入院・リハビリを経験
「私の仕事は特に年末が忙しく、その日も徹夜をして家にくたくたで帰ってきました。雨が降っていてずぶ濡れになり、すごく寒かったのを覚えています。とりあえず夜ご飯を食べようと思ったのですが、みそ汁のお椀が手からすべり落ちてこぼれ、さらにご飯もなんだかうまく噛めず、口からこぼれ落ちました。
『なんだか調子悪いな……』と、そのときはそのくらいにしか思わなかったのですが、翌日も同じようなダルさのまま。とりあえず会社に出勤したところ、会社で倒れたのです」
それから約半年、ミヤさんは入院してリハビリなどをする中で、結婚への想いがわいてきた。
「僕は一人っ子で、親も父親が亡くなって今は母親だけ。あと10年もすれば、本当に一人になってしまうな……と感じたのです」(ミヤさん、以下同)
こうしてミヤさんは結婚相談所に入会。本格的に婚活を始めることにした。しかしそこで待っていたのは、想像をはるかに超える婚活の苦労。これまで30人ほどとお見合いをして、仮交際にまでも何人か進んだのだが、すべてがうまくいかなかった。
「スーツの着こなしがダメ、メンズメイクでつけていたリップが汚いと言われたり、会社が倒産するから婚活どころではなくなってしまったなどなど……さまざまな理由で断られました。もちろん僕からお断りする場合もあったのですが、ここまで上手くいかないものかと感じましたね」
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年収600万弱で中央値 婚活市場はレベルが高すぎ?
そして婚活をするうえで一番強く感じたことが、35歳を取り巻く、若いころとはまったく違う恋愛環境。ちょうど35歳から本腰を入れて婚活を始めたことで、“35歳”という重みを強く実感したという。
「若いころは自分もそうでしたが、お互いに好きという感情だけで交際することができますし、社会的なステータスは後から知っていくくらいでした。しかし35歳で婚活となると、やはり、まずみられるのは社会的なステータス。自分は年収600万円弱程度ですが、婚活市場において、35歳でこれくらいは中央値かもしれません。
持ち家を持っていますが、それも大きなアドバンテージにはなっていません。都内在住でマイカーをもっていればようやくちょいプラス。とにかく、35歳ともなると、相手から求められるハードルがどんどん上がっている気がします」
確かに20代のころは、各職業で年収にそれほど差がない。家やマイカーを持っていないのも当たり前だ。しかし35歳にもなれば、会社内で昇給したり出世したりで、年収に差が生まれ始め、どれだけ貯金をして計画的な人生を歩んできたかが如実に表れだす。
35歳から婚活をはじめようと思っても、それまでの積み重ねですでに差が生まれ、気づいたときにはどうしようもないというパターンもある。
また、恋愛観も若いころとは大きく変わり、惹かれる異性の性質が変わっている。エンタメ関係の仕事をしているミヤさんは、この点も強く感じたそうだ。
「20代のころなんて、エンタメ関係の派手な仕事で不規則に働くのがかっこいいと思っていたし、周りからもそう見られている実感がありました。10代のころにちょっとヤンチャな人がモテるように、20代も少なからずまだその延長だったと思います。
しかし35歳となった今、相手から求められるのは、完全週休2日で、定時帰りの仕事についている人。“休日が合わない”という理由でお見合いを断られたこともあります(プロフィールでわかるのだから先に見とけよとも思いましたが……)。銀行員とか公務員とか、そのほうが結婚生活をイメージしやすいのでしょうね」