〈法規制が進む国も〉若者たちのSNS疲れ「なくても困らない」「不毛な論争にウンザリ」Z世代のホンネは?〈法規制が進む国も〉

X上で定期的に起こる“あの議論”にうんざりして……

「学生時代はXを見ていましたが、社会人になってからはほとんど閲覧しなくなりました。アカウントは残しているものの、アプリはスマホから削除しています。インスタやTikTokには興味がなく、もともと使っていません」(25歳男性・会社員)

その理由を詳しく尋ねると、「病んだわけではないんですけど……」と前置きしつつ、今でもXで定期的に繰り返される“あの議論”にうんざりしたことを明かしてくれた。

「2019年ごろだったかな? 『デートでサイゼリヤは、アリかナシか?』みたいな論争が大きな話題になっていて、本当にうんざりしたんです。肯定派も否定派も必死で、見るに耐えなくて結局『サイゼ』をミュートワードに設定しました。それ以降も、性別や政治的な分断が激しくて、最終的にまったく見なくなりました」(同男性)

男性はさらに、かつて感銘を受けた電子機器の取り扱いにまつわる言葉や、スマホ利用のジレンマなどについても深く語ってくれた。

「高校時代、先生から『スマホは受動的デバイスで、パソコンは能動的デバイスだ』と言われたのがすごく印象に残っていて。パソコンは自分から情報を取りに行くけれど、スマホは何もしなくても情報が流れてくるからよくない、と。

だから僕、スマホのホーム画面にアプリを表示しない設定にしています。アイコンがあると、ついタップしたくなるので。本当はガラケーにしたいくらいですが、仕事では連絡ツールとして使いますし、WEB広告に携わっているので、ネットのトレンドも少しは追わなきゃいけなくて……」(同男性)

昨年10月、イギリスのキーガン教育大臣(当時)は、「ネットいじめ」をなくす施策として、イングランド全土の学校内でスマホの使用を禁止する方針を発表した。

また、今年3月には、アメリカ・フロリダ州で14歳未満のSNSアカウントの取得を禁じる法案が成立。

カナダでも4都市の教育委員会が「未成年に有害な影響を与える」「強迫的に使用するよう設計され、子どもの考え方、行動、学習方法を変えてしまった」などとして、40億カナダドル(約4476億円)の損害賠償を求めてMeta社やTikTokの運営会社などを提訴した。

そのほか、オーストラリアやノルウェーでも未成年を対象にSNSの利用制限の検討が発表されるなど、世界各地で進む、SNS規制の動き。日本でも、何かしらの対策が必要なのだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班