DeNA、史上最大の下剋上は彼らの献身なしには語れない! 7年前の忘れ物を遂に手にした戦士たちの存在感

☆26年ぶりの歓喜

「もう嬉しくて嬉しくて、震えてましたね」

 日本シリーズを制覇し、マウンド上で5回宙に舞った三浦監督は、感涙とともに満面の笑みを浮かべた。

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 リーグ戦は3位に終わりながらも、CSに入るとチームの集中力は日に日にアップ。甲子園では阪神を寄せ付けず、東京ドームでは巨人と1点を争う死闘を制した。そして迎えた日本シリーズ。圧倒的な戦力でパ・リーグを制圧したソフトバンクとの戦いは、戦前の予想では圧倒的に不利との予想を跳ね除け、4勝2敗で日本一の座を手中に収めた。それだけに指揮官の喜びもひとしおだっただろう。
  一気に駆け抜け掴んだ頂点。そこには7年前、日本シリーズで敗れた戦士たちの経験とプライドが結果となって現れた。

 まずはCSでMVPに輝いた戸柱恭孝の攻守に渡る貢献ぶりは目を引いた。主戦捕手の山本祐大が離脱の中「1年間毎日試合出ることは少なかったんですけど、しっかり一緒に試合に入っていける準備をしてました」と山本がマスクを被り続ける日々でも早出を日課とし、常にバックアップ体制を整え続けたことがモノを言った。そして「7年前、経験を一応させてもらったんですけど、もう今はチームの色も違いますし、当時いた選手も多くはないので。経験した選手で引っ張っていくのもいいんですけど、新しい選手とみんなでまた一丸に戦っていきたいなと思います」との意気込み通り、助っ人外国人ピッチャーに加え、坂本裕哉や中川颯らの若いリリーバーたちを下支え。第3戦以降、強力ソフトバンク打線をわずか2失点に抑えるリードが冴え渡った。

 また日本シリーズ通じて6打点と勝負強さを発揮したのは筒香嘉智。バットの貢献だけではなく「今までチームのことを思っていても、なかなか選手が動ききらない状況でした。キャプテンの牧(秀悟)を中心としてやってますけど、それ以外のメンバーでも気づいている点、チームとして改善しなきゃいけないというところを、何度も話し合いました」と7年前にキャプテンを務めた経験を元にアドバイスを惜しまなかった。シーズン中は怪我の影響もあり、成績としては満足いかない部分もあっただろうが、優勝するために横浜に帰還した男の影響力は、数字では測れない貢献があった。 そして、最後にはシリーズMVPを獲得した桑原将志。トップバッターとして打率.444、出塁率.516と塁上を賑やかせながら、シリーズ記録で長嶋茂雄氏とランディ・バース氏に並ぶ9打点と勝負強さも兼ね備えた。また再三ダイビングキャッチでピンチの芽を摘むなど、文字通り攻守ともに大活躍を果たした。
  さらに牧が「ビジターでの1戦目、クワさんが1打席目でツーベースで出てくれたことで、全員の士気も上げてくれましたし、そこから全員がまたひとつ気持ちを入れたという形になって、最終的に勝つことができたんじゃないかなと思います」と本拠地で連敗後、福岡での最初の攻撃がターニングポイントになったと回想するなど、ゲームチェンジャーの役割も果たした点も見逃せない。

 第6戦の試合前にも「王手はこちらがかけてましたし、本当にみんな今日決めてやるっていう気持ちでした。先走るのもわかりますし、僕自身も今日で決めたいっていう思いもありましたけど、先走って自分の役割を見失わないように、そのままその場で自分たちができることをしっかりできればいいかなという思いで言葉をかけました」と気合が空回りしないようにと声がけ。7年前、打率.150と逆シリーズ男と揶揄された忸怩たる思いが、元気印だけではない、大人の野球人として開花したとも受け取れる。

 昨年の交流戦の最終戦や、勝てば2位のリーグ戦最終戦など、勝負どころで勝ち切れなかったチームがついに成し遂げた下剋上。そこには7年前の悔しさを胸に秘めた戦士たちが、影に日向に献身的な動きがあったからこその偉業達成だった。

取材・文●萩原孝弘
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