「ムカついて腹が立った」守備の名手グリーンが昨季のDPOY論争に憤慨&発奮「今季掲げるゴールのひとつ」<DUNKSHOOT>

 今季のゴールデンステイト・ウォリアーズは、現地時間11月3日(日本時間4日、日付は以下同)を終えた時点で6試合を消化し、ウエスタン・カンファレンス3位の5勝1敗(勝率83.3%)の好スタートを切った。

 開幕4戦目からステフィン・カリー(左腓骨筋の筋損傷)とディアンソニー・メルトン(腰の筋挫傷)をケガで欠くも、10月29日と30日のニューオリンズ・ペリカンズ戦、2日のヒューストン・ロケッツ戦も制して3連勝。ここまで好調を維持している。

 昨季ウエスト10位の46勝36敗(勝率56.1%)でレギュラーシーズンを終え、3年ぶりにプレーオフ進出を逃したチームは、今オフにクレイ・トンプソン(現ダラス・マーベリックス)、クリス・ポール(現サンアントニオ・スパーズ)といったベテラン陣が退団。バディ・ヒールドやカイル・アンダーソン、メルトンを加えたとはいえ、大幅な戦力アップに成功したと見られることはなかった。

 それでも、今季のウォリアーズはここまで13選手が平均11.0分以上のプレータイムを得ていて、6人が平均2桁得点を記録する選手層の厚さを誇っている。トップはヒールドの平均22.2点で、アンドリュー・ウィギンズが同18.5点、カリーも同18.3点とバランスのいいオフェンスを展開中だ。
  開幕から最初の2戦で計77点も相手チームを上回ることになったわけだが、オフェンシブ・レーティング118.6はリーグ4位、ディフェンシブ・レーティング101.0は同2位で、ネット・レーティングは堂々リーグトップの+17.6をマーク。

 今季ディフェンスが好調な要因に挙げられるのは、アシスタントコーチ(AC)として加入し、ディフェンシブ・コーディネーターをこなす元NBA選手のジェリー・スタックハウス(元デトロイト・ピストンズほか)の働き。そしてディフェンシブ・アンカーをこなすグリーンの活躍だ。

 10月31日に公開された、バロン・デイビス(元ウォリアーズほか)とのポッドキャスト番組『The Draymond Green Show with Baron Davis』で、キャリア13年目をプレーするグリーンは、最優秀守備選手賞(DPOY)へ返り咲くことを目標にしていると話していた。
 「俺は集中してやっている。それが俺のゴールなんだ。昨年(昨季)のオールディフェンシブチームに俺の名前はなかった。それがムカついてね。出場試合数の関係で俺にその資格がなかったが、俺は腹が立ったんだ。

 俺は殿堂入りするキャリアを送ることを心底望んでいる。だからもっと栄誉を手に入れることができればなおいいんだ。だがチェット(ホルムグレン/オクラホマシティ・サンダー)とウェンビー(ヴィクター・ウェンバンヤマ/スパーズ)のディフェンスに関するトークばかり耳にしてきた。

 あの2人はスペシャルな選手だ。でもな、俺はディフェンスで彼らとは違う影響を与えることができる。俺には7フィート(213㎝)の高さがないから、自分の持つ巧みなポジショニングと頭脳を駆使して最高の選手になる必要があった。今年、俺が掲げるゴールのひとつは最優秀守備選手賞、オールディフェンシブ1stチームに返り咲くこと。それを達成するためにやり続けていく」
  216cm・94kgのホルムグレン、221cm・107kgのウェンバンヤマは、持ち前の高さと機動力を存分に発揮して複数のポジションを守り、マッチアップ相手やカバーディフェンスでブロックショットやスティールを奪取。

 一方のグリーン(198cm・104kg)は高さではなく、ビッグマン相手にも力負けしないパワーと絶妙なヘルプ、ポジショニングで相手チームの攻撃時の選択肢を狭めて、チームの失点を防ぐしたたかさがある。

 今季は6試合の出場で平均26.8分、7.3点、5.2リバウンド、4.2アシスト、1.0スティールに加えてキャリアハイの1.5ブロックをマーク。加えて、3ポイント成功率(46.7%)でも自己最高ペースを残している。

 オールディフェンシブチーム選出回数でポールの9回に次ぐ現役2位の8回を数えるグリーンは、今季好調のウォリアーズでも重要な役割を担っている。チームが勝利をたくさん積み上げていくことで、この男の評価も必然と上がることだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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