KCPは今夏になぜナゲッツを退団したのか?本人は「難しい決断だった」<DUNKSHOOT>

 2022-23シーズンにデンバー・ナゲッツの初優勝に大きく貢献したKCPことケンテイビアス・コールドウェル・ポープは、昨季も不動の先発シューティングガード(SG)を務めて平均10.1点、2.4リバウンド、2.4アシスト、1.3スティールに3ポイント成功率40.6%(平均1.6本成功)を記録。ウエスタン・カンファレンス2位の57勝25敗(勝率69.5%)を残したチームで貴重な役割をこなしてきた。

 だが、オフには今季の契約(プレーヤーオプション)を破棄し、完全FA(フリーエージェント)に。オーランド・マジックと3年6600万ドル(当時のレートで約106億2600万円)の大型契約を結び、新天地へと旅立って行った。

 その結果、ナゲッツはコールドウェル・ポープの代わりに3年目のクリスチャン・ブラウンを先発へ昇格させる決断を下し、直近2シーズンに見事な働きを見せた有能な“3&D”と決別。

 現地時間11月1日(日本時間2日、日付は以下同)に米メディア『Andscape』へ公開されたインタビューの中で、31歳のベテランウイングは苦しい胸の内をこう明かしていた。
 「難しい決断だった。僕らは彼ら(ナゲッツ)へ機会を与えたんだけど、こういうこともあるんだ。僕は代理人のリッチ・ポールへ上手く対処してくれるように任せていた。で、彼はいつも僕へ『最終的に、これはビジネスなんだ』と言ってきた。自分にとって何がハッピーなのか、僕と家族にはどんなことがベストフィットするのかを見出さなきゃいけなかった」

 3日を終えた時点で、ナゲッツはウエスト10位の3勝3敗(勝率50.0%)。マジックも3日のダラス・マーベリックス戦に敗れて3連敗を喫し、イースタン・カンファレンス6位(3勝4敗/勝率42.9%)に位置している。

 ニコラ・ヨキッチがフル回転して支えているとはいえ、ナゲッツはなかなか勝ち切れないというのが現状。一方のマジックは開幕から5試合で平均29.0点、8.8リバウンド、5.6アシストと大暴れしていたパオロ・バンケロが、右腹斜筋断裂のため無期限の離脱になったことで苦戦している。

 コールドウェル・ポープはここまで7試合に出場して平均28.2分、6.0点、1.3リバウンド、1.3アシスト、1.1スティールをマーク。しかし新天地に加わったばかりということもあり、フィールドゴール成功率31.7%、3ポイント成功率21.9%とシュートスランプに陥っている。

 キャリア12年目のベテランだけに、この男がここからタッチを取り戻し、3ポイントでも相手チームの脅威になってプレーオフ勝ち上がりに貢献できれば、今夏の高額契約は価値のある動きとみなされるだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

【画像】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!