F1第21戦のブラジル・グランプリは11月3日に決勝が行なわれ、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は今季最高タイの成績となる7位入賞を果たし、8戦ぶりのポイント(6点)を獲得している。
【画像】予選3番手の角田裕毅、スタート直後は3位をキープ! 本来ならスプリントの後に予定されていた予選が、悪天候によって決勝と同日に実施されるという慌ただしい日曜日となったが、角田は雨天の中での予選で安定したパフォーマンスを発揮してQ1(5番手)では長くトップを維持し、10番手で何とかクリアしたQ2を経て3戦ぶりに進出したQ3では最終アタックで自己最高となる3番手という素晴らしい結果を残した。
短いインターバルで実施された決勝でも、大多数が第2スティントでインターミディエイトタイヤを選択する中でウェットタイヤを着用したことが奏功し、初の表彰台への期待も高まったが、天候の悪化によるセーフティーカーの出動やフランコ・コラピント(ウィリアムズ)のクラッシュによる赤旗中断によって順位を落とす不運にも見舞われ、7位でチェッカーフラッグを受けることとなった。
チームメイトのリアム・ローソン(9位)とともに結果は残したものの、より高いポジションを狙えたはずだという喪失感に加え、ダブル表彰台を達成して大量35ポイントを獲得したアルピーヌに抜かれてコンストラクターズ・チャンピオンシップで8位に落ちたこともあり、レース後にチームの公式サイトを通して発表された角田のコメントからは、悔しさも感じられた。
「今朝、これまでで最高の予選結果を出し、3番手からレースをスタートできたことはとても嬉しかったです。前日とは条件が違う中で、完全な比較は難しかったにもかかわらず、チーム全体で素晴らしい仕事をしてくれて、スプリント後に多くの変更を車に加えたことが良い方向に進みました」
「この午後のレースでは良いスタートを切り、最初のスティントも順調で、全体的に自分の走りにはとても満足していますが、残念ながら幾つかの問題がありました。赤旗が我々にとっては不利なタイミングで出てしまい、アルピーヌが多くのポイントを獲得したことで、チャンピオンシップでは残念な結果となりました」
「全体的に、この結果は我々の努力を十分に反映しているものとは言えませんが、それでも再びポイントを獲得できたことは良かったです。この週末ではポジティブな点で多くの収穫があったので、残りの3戦でも引き続きプッシュしていきます」
またメディアのインタビューでは、「コンディションが非常に難しく、トラップが多かったので、雨が強くなった時はコースに留まり、ウォールにぶつからないよう集中しました。まるで水の上に浮いているような気分でした。3番手を守りながら、エクストリームウェットに交換しましたが、もし赤旗中断がなければ、とても良い結果になったかもしれません」と語っている(フランスのモータースポーツ専門サイト『NEXTGEN-AUTO』より)。
さらに、「他の車は速かったです。特にアルピーヌは。自分がクリアな状態では彼らを抑えることができましたが、彼らがクリアになると、一気に離されてしまいました。ピエール(・ガスリー)が運にも恵まれて3位に入り、アルピーヌがコンストラクターズランキングで6位に上がったことは残念ですが、我々はもっと強くなって戻ってきます」と、ライバルにも言及した。
そして、開催国ブラジルのモータースポーツ専門サイト『GRANDE PREMMIO』も、「集中を切らしたら、大きな影響が出そうな難しいコンディションでしたが、終盤でオスカー(・ピアストリ)との激しいバトルを楽しみました。彼が10秒ペナルティーを受けていたので、その中で留まろうとしました。ミスはしたかもしれませんが、それでも問題なく走り切り、7位でフィニッシュできたのは良かったです」との角田のコメントを紹介し、ここでも彼は今後についての展望や意気込みを口にしている。
「残りのレースは非常に難しいものになります。ラスベガスとカタールは、我々にとっては簡単なコースではありません。今週末はできる限りのことをしました。アルピーヌが2位と3位を獲ったことでとても悔しい思いをしていますが、仕方がありません。次の3戦で、より良い車が手に入ることを期待して、それを最大限に活かしたいと思います」
このように今週末を振り返った角田は、自身のSNSでは「もしかしたら、もっと早い時間に予選をやった方がいいのかもしれない」とジョークもまじえ、「今日は満足しています。予選で3番手、レースで7位でした。長い3連戦をポイント圏内で終えられて最高です」と投稿。そしてそんな彼に対し、RBはSNSで「素晴らしいドライビング! クレイジーなコンディションの中、見事なパフォーマンスを披露した」と賛辞を贈っている。
対して英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、「ブラジルGPの勝者と敗者」と題した記事で、RBを「敗者」に選定。「もしも違う展開だったら……。ポイント獲得は堅実だったし、良い結果を出したとも言えるが、アルピーヌの大量得点が影を落とし、RBはランキングでさらに後れを取ることに。少し前までは6位が確実と思われていただけに、悔しい結果である」と、彼らのパフォーマンスは認めながらも、やはり最終的な結果についてはネガティブな見解となった。
しかし角田個人については、同国のF1専門サイト『GP FANS』でF1ジャーナリストのジミー・ハニフィン=ドナルドソン氏が、「レースではスタート時からポジションを下げたものの、多くのドライバーがコースに留まることすらできなかった予選で2列目に入ったことは、非常に印象的だった」と称賛し、「彼は少なくとも、2025年にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とともにドライブする候補として考慮されるべきだ」と主張している。
構成●THE DIGEST編集部
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