近年のヴィンテージブームで、Gジャンが高騰し、その流れでカバーオールも過去最高値に。ただカバーオールは、Gジャンよりも多くのバリエーションが存在し、年代も幅広い。そこでベルベルジンの藤原さんに、スペシャルヴィンテージを指南してもらった。
これまでにないほどヴィンテージカバーオールが高騰しています。
ベルベルジン ディレクター 藤原裕さん|1977年生まれ。高知県出身。高校時代よりヴィンテージに熱中し、上京後、1999年にベルベルジンへ入社。今年で勤続25年となる。日本の古着業界のアイコニックな存在としても知られ、海外にも多くのファンを持つ。ヴィンテージデニムアドバイザーとして様々なブランドにも携わっている
ここ数年は’90年代以上の空前のヴィンテージブームとなっている。その主役となるのは、今も昔もデニムで、リーバイスのタイプ1を筆頭にGジャンが大いに盛り上がっている。その煽りを受ける形で再注目されているのが、ヴィンテージのカバーオールだ。2000年代から徐々に盛り上がり、2010年前後にピークとなった’50年代以前のヴィンテージカバーオールだが、その時とは比べようがないくらい高騰していると藤原さんは語る。
「様々な要因があると思うですが、まずはGジャンの高騰ですよね。その影響でデニムジャケット全般が注目され、着丈が短いGジャンが苦手な方々がカバーオールに流れたと思います。また後付けパーカの高騰など、海外だとトゥルーヴィンテージと呼ばれるような’50年代以前の旧いものが人気を集めているのも繋がってくるのかと。
Gジャンはリーバイスのタイプ1やタイプ2、リーの101Jなど、定番と呼ばれるモデルがわかりやすい。でもカバーオールはリーの91‒Jなどはありますが、これぞ定番というモデルが意外と少ないんです。より個性の強いチェンジボタンやチンストラップ、変形ポケットなどのディテールを求める傾向があり、そうなると戦前のヴィンテージになるので、数が圧倒的に少ないんです。
カバーオールの黄金期と言われる’20〜’30年代の珍しい個体は、まだまだ価格が上がると思うので、買っておいて損はないでしょう!」
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ブランド名に左右されず、ディテールで評価されるカバーオールの世界。
年代の旧さはもちろん、カバーオールは一般的なワークジャケットとして多くのブランドが生産していたアイテムだけに、メジャーブランドだけでなく、マイナーブランドやオリジナリティのあるデザインや仕様を持った個体などでも、そのレア度から価値が見出されている。むしろマイナーブランドで個性的なデザインなどが高騰するケースも珍しくない。ヴィンテージのカバーオールを見るときにはディテールをチェックしよう。
個性的な仕様の大戦カバーオールはコレクターピース。1940s Lee S91-J
名作カバーオールである91-Jの大戦仕様。大戦モデルと言っても様々なバリエーションが存在し、この左右非対称のポケットパターンは少なく、コレクターズピースとなっている。下ポケットのみの仕様や4つポケット仕様も存在している。参考商品
本来胸ポケットにあるスナップボタンが省略されているのも大戦モデルならではの仕様。機能は省略されたが、ファッション的にはすっきりとした印象になっている。
Leeのロゴの背後に家のようなマークが入るハウスマークと呼ばれるタグのデザインは、時代によってマイナーチェンジがあるため、年代判別する際の材料になる。
物資統制前の本来のデザインではカフスのボタンが3つのところ、政府による物資統制の影響で1つになっているのも大戦モデル特有の仕様。
1950年代まで使われていたロゴが刻印されたメタルボタン。Lのアルファベットの下部が長いことから、ロングLと呼ばれている。