オーディション番組『タイプロ』異例の大ヒット、ジャニーズ時代の前例打破で起きた独自現象とは オーディション番組というより、「『timelesz』メンバー3人の〝ドキュメンタリー〟」

視聴者が感情移入するのは候補生以上に審査員3人

10月25日配信の3次審査からはグループワークでのダンスという実技試験に入るが、まだ面接にすぎない2次審査の段階で、ここまで話題を集めている『タイプロ』。実は、旧事務所の前例を打ち破っただけでなく、オーディション番組としても革新的な要素があるのがこの番組の特筆すべき点だ。

それは、プロデューサーの選考や視聴者投票ではなく、メンバー自身が審査員を務めている点だ。

ファンからも、〈冷静になるとまじ審査員目線になる〉〈今までのオーディション番組と違ってみんな審査員に感情移入しちゃっておもしろい〉〈審査員側にここまでフォーカス当たってるのも珍しいから違う楽しみ方あっていい〉〈『timelesz』の3人の審査員のジャッジも勉強になる〉といった声が上がるなど、候補者ではなく審査員側に感情移入するという、これまでのオーディション番組にはない現象が見られている。

さらに、これまで数々のオーディション番組を論考してきた池田氏は、独自の現象として、「視聴者がメンバーへの信頼を深めている」と分析する。一体どういうことなのか。

「面接形式による2次審査までの印象にはなりますが、『タイプロ』は『PRODUCE 101 JAPAN』の3作品や『Nizi Project』『THE FIRST』『MISSION×2』といった、さまざまな審査によって候補者が絞られ、そのドラマを追う”サバイバル”番組というより、『timelesz』3人の“ドキュメンタリー”のような印象が強いと感じています。

審査員であるメンバーに対して、視聴者は感情移入というより、信頼を深めていると言っていいでしょう。これまでに配信されているエピソード内でも、視聴者が違和感を持つ候補者に対して、メンバーが厳しい言葉をかけるといったシーンも多く見られました。視聴者は『あぁ、やっぱりこの3人が選ぶなら信頼出来るね』という気持ちが、見進めていくにつれて深まると思います」

現在は一般参加の候補生が審査されている『タイプロ』だが、今後は『timelesz』にとって後輩である『ジュニア』も参加する。今後は『ジュニア』のファンも視聴を開始し、さらに盛り上がっていくことは間違いないだろう。

新メンバーの正式決定は2025年初旬に予定されているが、増員人数、『ジュニア』・一般候補者の割合については未定であり、“該当者なし”もあり得ることが明言されている。

あらゆる点で革命的な『タイプロ』は、いったいどのような結末を迎えるのだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部