あらゆる関係メーカーが集まった「香港ウォッチ&クロック・フェア」


お次は、同施設内の別ホールで同時開催されている「香港ウォッチ&クロック・フェア」へ。

時計ブランドの完成品が展示された「Salon de TIME」と異なり、こちらは時計産業全般に関わるさまざまなメーカーが出展。カテゴリーも「完成品」「中古」「クロック」「機械・設備」「OEM スマートウォッチ」「包装・ディスプレイ」「部品・コンポーネント・アクセサリー」「貿易サービス」と幅広く、会場内は一般客よりもビジネスパートナーを探そうとする業界関係者が多い印象でした。


各ブースが細かく仕切られ、限られたスペースのなかで自分たちのウリをアピール。日本でも行われている各産業の展示会のイメージに近いレイアウトです。


スイスのロンダやセイコーグループのTMIなど、主要なムーブメントメーカーも出展。比較的な大きなブースで、自慢のムーブメントを紹介していました。


時計メーカーに向け、安定性や精密性など各種性能を図るための検査器を目のあたりにできるのも、こうした展示会ならでは。写真の表匠社では、時計用の各種検査器や組み立てで用いる作業台、メンテナンス用品などを手掛けるメーカーとのことでした。


こちらは数十年にわたってサファイアクリスタルの製造・加工を行っているという晶美光学社。蓄えられたノウハウのもとどんな形状にも対応でき、スイスの高級ブランドをメインに取引をしているとのことでした。


近年、いくつかのブランドの「特別モデル」として登場することがあった隕石文字盤。その素材を専門に扱っている、すばりメテオライト社という名の業者もありました。スウェーデンで発見されたムオニオナルスタ隕石を使い、自社でもオリジナルの時計を製造するほか、アクセサリーやボールペンも展開。隕石ハンターたちが地中に眠る隕石を探しているときの写真も見せてくれて、改めてロマンスを感じました。


文字盤といえば、マザーオブパールも忘れてはいけない存在。こちらの業者もあり、販売している商品を展示。マザーオブパールといっても、削り方や染色によってこれだけ多様な種類があるのを再認識できました。


機械式ムーブメントに使われるローターを専門に扱うところも。


外箱を取り扱うメーカーも多かった印象です。時計製造は一気通貫のマニュファクチュールだとしても、外箱まで自社生産しようとするところはないからでしょう。ヘルメット型ケースなど、目を引く商品も。


ダイヤの専門業者もありました。文字盤やベゼルなどにセッティングするためのもので、カラットごとに陳列。ものすごい数のダイヤが陳列されていて、「いったい一山いくらだ……」と思わずにはいられませんでした。

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時計好きには見逃せない世界最大級のイベントだった!


全5日間で、106の国と地域から約17,000人のバイヤーが集まったという今回の「香港ウォッチ&クロック・フェア」&「Salon de TIME」。その規模感はまさに世界最大級といえるレベルでした。超高級とされるスイスの名門ブランドの参加は限定的で、輝かしいブランドの新作が発表される「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ」ほどの華はないかもしれませんが、完成品からパーツまでありとあらゆるものを巻き込もうという姿勢は実にパワフルで圧倒的。興味深い発見も多く、時計好きにはたまらない一大イベントといえそうです。

中国にはどのような時計ブランドがあるのか? 今、どのような時計が注目されているのか? 「香港ウォッチ&クロック・フェア」&「Salon de TIME」で見つけたこれらトピックは、また別の記事でご紹介します。お楽しみに!

主催:香港貿易発展局(HKTDC)

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取材・文/横山博之