ネタ作り、ライブ、テレビ、YouTube……さまざまなシーンで、芸人たちを陰で支えている“作家”と呼ばれる職業の人たちがいます。第一線で活躍する芸人たちは、どのように作家と仕事をしているのでしょうか。芸人×作家のスペシャル対談シリーズ『芸人と、作家と』。今回は、「ダンソン」が再ブレイクしているバンビーノ(藤田ユウキ、石山タオル)と、作家の丸山優人が登場。3人の関係性や、準備を進めている11月15日(金)の企画ライブ「ダンソンさんと大冒険 ファミリー公演~巻き起こせ、ニーブラ旋風ビュンビュンビュン!!~」(東京・セシオン杉並ホール)の見どころを語ってもらいました。
出典: FANY マガジン
初対面の印象は「変なヤツがおるなー」
――まずはバンビーノと丸山さんの出会いを教えてください。
石山 2015年にキングオブコントで準優勝して、2016年に上京してきたときに、ルミネ(theよしもと)の進行をやっていたのが丸山ですね。だから始めの出会いはスタッフさんとしてです。コント道具を置いてもらったりしていたのがスタートかな。
――最初はどんな印象でしたか。
石山 だいたい進行さんって、全身真っ黒のTシャツに黒ズボンなんですけど、丸山はラモス瑠偉みたいな髪型をして、柄シャツを着てたんですよ。
藤田 黒やけど、柄がすごいヤツ(笑)。
石山 「何なん、お前?」っていう(笑)。ヒップホップ色が強いと言いますか、ヒッピーな感じ。藤田に「変なヤツがおるなー」と言ってたと思います。変やからこそ、(気が)合うんちゃうかと思ってましたけど。
藤田 何歳? あのとき。
丸山 22歳とかです。そんなに変にしたつもりはないんですが……。
藤田 いやいや、もうダントツやったで。
石山 ダントツ変でした。髪型と服装もさることながら、空気感とか。逆に、丸山はオレらの印象はどうだった?
出典: FANY マガジン
丸山 僕は、お笑いや劇場に詳しくない状態で進行の仕事についたんですが、僕が劇場に入ったときに、いちばんウケていたのがバンビーノさんという印象でした。あと石山さんと藤田さんは、お昼にゴハンをめっちゃ食うんですよ。
一同 (笑)
丸山 それで、当時はスタッフさんに「自分のも買っていいからお弁当を買ってきて」みたいに頼まれることが多くて、僕は率先して買いに行ってました。
石山 ココイチを買ってきてもらったりとかな。
丸山 はい。でもいちばんは、劇場でいちばんウケてたという印象です。
石山 確かに当時は“イチウケ”でしたね。勢いもあったし、「ダンソン」じゃないネタを見たことがないお客さんがめっちゃいたので、「バンビーノはこんなネタをするんや」というビックリも乗って、ウケてたんだと思います。
丸山 あともう1つの印象は、喋りやすかったです。本来、芸人さんは進行とそんなに話す必要がないんですけど、「気さくにお話してくださる2人だなあ」という感じです。
――どんな経緯で、一緒に仕事をするようになったんですか。
石山 当時、大阪では作家さんが1人ついていたんですが、東京では作家なしでやっていたんです。だけど、単独の準備などをすべて2人でやるのは難しくて。「東京でも誰か1人、ついてもらわなくては無理やな」と思っていたときに、丸山から声をかけてきたんです。それでオレはOKしたんですけど、何を履き違えているのか丸山は「1回断られた」って言うんですよ(笑)。
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藤田 これ、いつもこの話になると争点になります(笑)。
丸山 僕のほうが勇気のいる行動をしているので、僕の記憶のほうが濃いと思います。僕はおふたりが廊下に座っているところに、「そろそろルミネを卒業するので、もしなにかお手伝いできることがあったらお願いします」と声をかけて……。
石山 そしたら、オレらは何て言った?
丸山 「まあまあまあ」って。
一同 (笑)
丸山 断られたっていうか、僕は保留にされたって思いました。そのあとにバンビーノさんの単独ライブがあって、そこで「いったんお試しでやってみよう」と言っていただきました。
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「3人で同じ景色が見たい」
――そこから8年の付き合いになるんですね。お互いの魅力はどのように感じていますか?
藤田 丸山は、ネタに関して一言も口出しをしてこないんですよ。それはすごいです。ふつうは何かを思いついたら、言いたくなると思うんですけど、それをいままでに1回もしたことがない。
――バンビーノとしては、そのほうがいいんですか?
石山 僕は作家さんと一緒に作るネタは、(藤田と)2人で作れていないと思う派なんです。だから、作家さんには音響のタイミングとかVTRについて相談したいんですけど、人によっては自分からどんどんネタを出す人もおられるので。丸山みたいに待ってくれるのは、確かにできんかもな。
丸山 作家についてから何年後かに、ネタについて「どっちがいいと思う?」と聞いてくれたときは嬉しかったです。でも、おふたりのネタだし、ゼロから作家が考えるのはおかしいと思うんです。聞いてくれたらアイデアを出しますけど、ネタのタネ的な部分について僕からはなにも言うことはないです。
藤田 それを22歳ぐらいのときにしっかり守っていたのが、すごいと思います。
石山 確かに。若いとやりたいこともいっぱいあるしね。
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――丸山さんの強みはどこでしょう?
石山 丸山は、ブレがないです。人間だから落ち込むことや、しんどいときも絶対あるだろうけど、やることはキチッとやる。いまはどんどん成長して、音を作ったり、映像を作ったりすることもできるようになってきました。一生懸命やってくれてるから、成功すれば分かち合いたいですし、たとえば海外でお笑いをやるとなったら連れていきたい。いろんな景色を見せたいとは思います。
――同じ景色を見たいというのは素敵ですね。
石山 せっかく、これだけついてきてくれたからね。僕らなんか、コロナ前後は芸人として死んでたんで。もう(芸人を)辞めるみたいな話を丸山にしたことあるし。
――そうなんですか?
石山 そういう危機も知っているから、ほんまに全部共有してきた仲間って感じですかね。倒産寸前やったけど、何とか踏ん張った。あのどん底のときに諦めずによく一緒におったなあと思います。
藤田 ずっと離れないでおるもんな。コロナもだし、作家さんはふつう「売れっ子につきたい」ってなるんですよ。だけど、8年間も一緒にいて、ずっとダメなときも離れないのはほんまにマレやと思います。
丸山 (バンビーノから離れることは)まったく考えたことないです。別に何か強い信念があってとかでもなく、ぜんぜん忍耐みたいなものでもなく、単純に何にも考えたことないです。
石山 本当にブレないんですよ。ずっとフラットです。逆にめっちゃ調子がよくてもフラット。
藤田 そうね(笑)。
石山 CMが決まってもフラット。「よかったですね」とは言うけど、「バンビーノさん、いま勢いがあるから、こんなことしましょう」とかもないし。
藤田 いちばん年下ですけど、いちばん冷静かもしれないですね。
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――丸山さんから見て、バンビーノの魅力はどこにあると思いますか?
藤田 (オレたち)部屋出ようか? 大丈夫?
一同 (笑)
丸山 まずは、とにかくいい人です。コロナ禍に僕も仕事がなくて困ってたときに、藤田さんから連絡があって、お米を送ってくれたりとか。石山さんも服をくれたり、地方の劇場の帰りに一緒に帰ってくれたり。人がいいから一緒にやらせてもらってます。
――それは尊敬できますね。
丸山 あと、ネタがいちばん面白い人たちだと思います。やっぱりあのとき、ルミネでいちばんウケてましたし、いまもそう。それに営業みたいな本当に腕が試される場所で、誰よりも実力を発揮できるのがすごいと思います。
石山 いまのは絶対に書いたほうがいいです。
藤田 ちょっと盛って、書いといてください。
一同 (笑)