旅館好きが高じて26歳で星野リゾート「界 加賀」総支配人に。地震の被害を乗り越えて、未来へ繋ぐ思いとは?

400年の歴史を次の100年に繋げていきたい

——そのプレゼン後に「界 阿蘇」の総支配人となられて、1年後に「界 加賀」に移られたのですね。

両施設とも、長い歴史をもつ施設の運営を星野リゾートが引き継ぐ再生案件ということで共通点があるということもあったかと思います。「界 加賀」は、「白銀屋」という400年の歴史ある旅館を星野リゾートが引き継いで、金継ぎ工房や「べんがらラウンジ」など新しい取り組みなどが、まさに「王道なのに、あたらしい。」という「界」のコンセプトそのものので、とてもワクワクしたのを覚えています。

着任すぐの能登半島大地震、新幹線延伸に合わせての「べんがらラウンジ」のオープンと目まぐるしい毎日のなかで、試行錯誤しながらも未来につなげていきたいという思いで今日にいたってますが、まだまだ道なかばというところです。

——森下さんの仕事のなかで考える「未来につなぐ思い」とはどんなことですか?

2024年「界 加賀」は、「白銀屋」から数えて400年を迎えるので、次の100年につなげていくという大きな夢を持てる節目です。「王道なのに、あたらしい。」という「界」ブランドの先頭を走っていきたいと思っています。「界 加賀」としては、連泊をしてランチや体験なども含め、地域を味わっていただく旅を提案していきたいです。

自分としては、観光地としてまだ有名ではないけれど、実はその魅力が知られていないだけという地方がたくさんあるので、新しい形で魅力の発信を手伝い、持続的に発展できるようなサポートをしていきたいです。それが昨今の後継者不足問題の解消や希少な伝統工芸の継承につながると思います。

「地域への集客を増やし、地域経済を回していく存在に」というのが、私の星野リゾートに入社した思いなので、総支配人としての役割だけでなく、星野リゾートのなかで地域経済活性化のためのチャレンジをしていきたいと思っています。