トランプの勝利であっけなく幕を閉じたアメリカ大統領選挙。ハリスの敗因は? トランプ氏を応援していたイーロン・マスク氏の本当に閣僚になるのか? 選挙当日のニューヨークでの報道や、街の声を現地からお届けする。
「第47代大統領に選ばれることを誇りに思う」
現地時間の夜中の(6日)午前2時22分だ。何ということか。だがこれが紛れもない現実だ。トランプがフロリダ州ウエストパームビーチで「勝利演説」を始めた。
「第47代大統領に選ばれることを誇りに思う」
ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンのブルーウォール3州をトランプが制した。いや激戦州7つすべてをトランプが制している。僕がみていたのはCBSの選挙速報だったが、スタジオ出演者に全く笑顔はなく、正直、失望感がどこかに漂っているようだった。
現時点で「ハリス218対トランプ266」(CBS報道による。EST2時22分段階)という選挙人の獲得状況。過半数が270だから、これは勝負あった。
決して短くない「勝利演説」でトランプは締めくくり部分で、あの聞き飽きた台詞を繰り返した。
「これでアメリカの黄金時代が再来する。アメリカを再び偉大に!」
聴衆は熱狂していた。
同時に行われた上院・下院の選挙でも共和党が勝利する模様だ。議会(立法府)と行政(大統領府)、(さらに言えば司法=最高裁まで)トランプ共和党が多数派を掌握してしまった。
スリーレッド=三権すべてをトランプ与党の共和党が押さえることになる。カマラ・ハリスはこの日予定されていた出身校ハワード大学での演説をとりやめた。
ハワード大学の屋外キャンパスでは多くの支持者が演説を待っていたが、取りやめの告知を受けて次々に引き上げていく姿がテレビに映しだされていた。なかには泣いている人もいた。
僕は2016年のヒラリー・クリントンの「勝利演説」が予定されていた民主党の豪華な「祝勝」会場から次々に支持者たちが、絶望の表情を浮かべながら帰っていく姿を実際にその場でみていたので、その時のことを思い出した。勝敗がもたらす結末は実に冷酷だ。
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イーロン・マスクはどうなるのか?
これから日本も含めた世界中のメディアは、トランプの勝因分析、カマラ・ハリスの敗因分析を始めるだろう。民主党は前回の大統領選挙に比べて、ヒスパニック系の支持が減り、若い人々の支持が減り、女性の支持も減少した云々。
ABCをみていたら、トランプへの政権移行チームの構成がどうなるかをめぐって解説を始めている。たとえばトランプ勝利に絶大な貢献をした実業家のイーロン・マスクの処遇がどうなるか。
途中で選挙戦から撤退しトランプ支持に転じたロバート・ケネディ・ジュニアらとの関係などをめぐってさまざまな観測を述べ合っていた。日本の政治評論番組に似ている。権力の移行とは人の入れ替えのことだ。当然、エマニュエル駐日大使も交代するのだろう。これから来年1月の大統領就任式までの間に内外で激動が訪れる。
選挙当日を振り返る。ニューヨークはとてもよいお天気で、暖かい。いったんコートを着て外に出たが、戻ってコートを置いてきた。それくらい暖かった。
今回の選挙の場合、早期投票(Early Vote)の数と郵便投票の数が非常に多い。最終的な開票結果は、これらの票の開票を待たなければならないとの見方が強く、もしかすると最終確定まで時間を要するかもしれないという見方もあった。