近年のPTZカメラ市場では、自動追尾機能の「オートフレーミング」および「オートトラッキング」機能がトレンドとなっている。これらの機能の精度は年々向上し、成熟しつつある。
今年は国内の大手PTZカメラメーカー「ソニー」「キヤノン」「パナソニック」からフラグシップ機をお借りしたので、各モデルの機能と性能についてレポートする。
自動追尾機能の比較動画
ソニー「BRC-AM7」:AI搭載により、進化した「PTZオートフレーミング」機能
ソニーからは、自動追尾機能を搭載したフラグシップのPTZオートフレーミングカメラ「BRC-AM7」が登場した。SRG-A40同様、カメラ内部にAI機能を搭載し、高精度な従来のPTZカメラでは実現できなかった、自然で滑らかな自動追尾を可能にしている。
インターフェースはWeb UIを採用しており、ネットワークに関する複雑な知識がなくても、本体底面に貼り付けられたQRコードまたはURLから簡単にアクセスできる。下位機種ではPTZオートフレーミングとカメラ設定が別画面で操作する必要があったが、BRC-AM7では一つのUI内に統合され、非常にわかりやすくなった。
PTZオートフレーミング機能の設定変更は、機能使用中でも可能で、フルショットからバストショットまでをスムーズに切り替えられる。人物を画面中央だけでなく、右や左にもドラッグするだけで簡単に構図を変更できるため、非常に便利である。
ソニー「BRC-AM7」、「PTZオートフレーミング」機能 テスト動画
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キヤノン「CR-N700」+「自動追尾アプリケーション」:高度な自動追尾を実現
キヤノンの「CR-N700」は、「自動追尾アプリケーション」をアドオンとして別途購入・インストールすることで、自動追尾機能を解放できる。今年の夏からは自動追尾アプリケーションのLite版が標準搭載され、限定的ながらも自動追尾が標準で利用可能となった。
機能比較表 | ||
機能 | Lite版 | 有償ライセンス版 |
追尾対象 | 自動選択 | 自動選択/手動選択 |
追尾感度 | 固定 | 10段階設定可能 |
被写体サイズ | 2段階 | 5段階 |
被写体位置 | 中央固定 | 自由設定 |
追尾対象自動選択 | ON | ON/OFF |
追尾設定値の保存 | 5つまで保存・呼び出し可能 | – |
インターフェースはWeb UIを使用するが、「カメラ検索ツール」を利用することで簡単にウェブ画面にアクセスできる。ただし、自動追尾アプリケーションとカメラ設定が別ページとなっている点に注意が必要である。
カメラ設定ページでは、リアルタイム映像に人物シルエットがオーバーレイされ、操作画面がすっきりとしているため、わかりやすい。画面上の人物シルエットを左右や上下に移動するだけで簡単に構図を変更でき、自動追尾実行中でも柔軟に対応可能である。