近年のPTZカメラトレンド!オートフレーミング・オートトラッキング機能の進化 Vol.02 [PTZ Camera Review 2024]

パナソニック「AW-UE160」+「Media Production Suite」+「Auto Trackingプラグイン」:顔認証と人体検出で高精度な自動追尾


パナソニックの「AW-UE160」は、本体のみでは自動追尾機能が使用できず、パソコンで「Media Production Suite」と有償の「Auto Trackingプラグイン」を別途用意する必要がある。パソコンの要件としては、CPUが第7世代Intel Core i7以上、GPUがRTX2050以上などといったハイスペックが求められる。

PC必要スペック
OS Windows Server 2022、Windows 11、Windows 10 64bit(バージョン21H2以降)
CPU 同時動作カメラ数4台まで: 4コア以上、PassMark値7000以上

同時動作カメラ数8台まで: 4 コア以上、 PassMark 値が 7000 以上の CPU 2 台構成
(Dual CPU)またはPassMark値18000以上のCPU1台
GPU 同時動作カメラ数1台: RTX2050以上、RTX 4000以上、RTX3050以上、RTX A2000以上、RTX4050以上、RTX2000ada以上

同時動作カメラ数2台: RTX2050以上、RTX 4000以上、RTX3050以上、RTX A2000以上、RTX4050以上、RTX2000ada以上

同時動作カメラ数4台: RTX2060以上、RTX 4000以上、RTX3060以上、RTX A4000以上、RTX4050以上、 RTX2000ada以上

同時動作カメラ数8台: RTX2080Ti、RTX3070以上、RTX A4500以上、RTX4070以上、RTX4500ada以上
メモリ 16GB以上
ストレージ空き容量 16GB以上
ディスプレイ 1920×1080以上
Webブラウザ Google Chrome、Microsoft Edge

Media Production Suiteの詳細

「Media Production Suite」は、従来のリモートカメラ用ソフトウェア「EasyIP Setup Tool Plus」や「PTZ コントロールセンター」が統合されたソフトウェアである。インストールされたPCでブラウザを立ち上げ、Web UIにて操作を行うことができる。また、「Auto Trackingプラグイン」はMedia Production Suite上にインストールする形で利用可能である。

Media Production Suite上では、リモートカメラ映像を見ながらコントロールが可能である。サイドパネルにはPTZコントロールやAuto Tracking機能の操作ツールを同時に表示させておくことができるため、効率的な操作が実現できる。


サイドパネルにPTZコントロールを表示させた場合

サイドパネルをAuto Tracking操作メインにした場合

Auto Tracking操作は、Auto Trackingボタンを押すことで追尾が開始される。Angleの「Full」「Full body」「Upper body」をクリックすることで簡単に構図を変えることも可能だ。

パナソニック独自の特徴として、ディープラーニング技術による高精度の人体検出機能が搭載されており、顔などの個人情報を登録せずとも、人物を識別して特定の被写体を追尾することができる。さらに、パナソニックが独自に作成したライブラリによる顔認識機能も搭載されており、演者の顔を事前に登録しておくことで、映像内での顔を識別し、複数の被写体がいる環境でも特定の被写体をより精度高く自動追尾することが可能である。

パナソニック「AW-UE160」+「Media Production Suite」+「Auto Trackingプラグイン」 テスト動画

パナソニック「Auto Trackingプラグイン」について

新プラグイン「Advanced Auto Framing」

テスト時には未発表で検証できなかったが、24年10月に発表されたばかりの「Advanced Auto Framing」について紹介したい。これはMedia Production Suiteの有償プラグインで、AW-UE160、AW-UE150、AW-UE100、AW-UE80で利用可能なオートフレーミング機能。事前に自由に設定した構図を自動で高精度に再現することが可能であり、3ショットのような複数人の被写体を含む構図も設定できる。被写体が動いた場合、構図を保つために自動追尾も実施する。

撮影エリアを広角で撮影する全体用のリファレンスカメラと連携し、例えば、オートフレーミングを行うカメラに撮影対象が映っていない場合でも、リファレンスカメラの映像から選択した撮影対象へのフレーミングが可能である。

また、AW-UE160であれば、カメラファームウェアとMedia Production Suiteをアップデートすることで、その一部機能を無償で使えるとのこと。

パナソニック AW-UE160 「Auto Framing機能」デモ動画

パナソニック「Advanced Auto Framingプラグイン」について

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まとめ

3機種ともに、フラグシップ機にふさわしい追尾機能を兼ね備えている。

ソニー「BRC-AM7」は、自然で滑らかな追尾性能を持ち、動きの速い現場や舞台など多様な撮影現場で活躍できる。

キヤノン「CR-N700」は、マニュアルでの細かな設定が可能なため、セミナーや企業の発表会など、演出を重視した撮影現場での活用が期待できる。

パナソニック「AW-UE160」は、「Media Production Suite」を通じてAuto TrackingやVisual Presetなどの機能を活用でき、AV機器類と連動したシステム構築が可能であるため、学校や会議室での利用に適している。

▶ ソニー「BRC-AM7」製品ページ
▶ キヤノン「CR-N700」製品ページ
▶ パナソニック「AW-UE160」製品ページ

泉悠斗|プロフィール

神成株式会社、AVC事業部 部長。マルチカムでの収録および配信をはじめとする映像制作全般を得意とし、最新の機材を取り入れた映像制作に取り組む。近年では、西日本一の長さを誇る水上スターマインを打ち上げる「福山あしだ川花火大会」の生中継をはじめ、「TOYAMA GAMERSDAY」などのe-Sports映像制作まで幅広く手掛ける。また、高校放送機器展事務局長として、学生の映像制作活動支援を行う。