レアル・マドリーは現地時間11月5日に本拠地サンチャゴ・ベルナベウで行なわれたチャンピオンズリーグ(CL)のリーグフェーズ第4節で、ミランに1-3で敗れ、前節リール戦(0-1)に続いての2連敗を喫した。
さらに公式戦でも、ラ・リーガ第11節の宿敵バルセロナとの「エル・クラシコ」(0-4)に続く2連敗で、これはカルロ・アンチェロッティの2度の監督就任期間で初のこと。また、ホームゲームで、しかも3点以上を失って連敗となると、これは2009年5月以来のことだという。
昨夏に史上最多15度目の欧州制覇を果たし、ラ・リーガとの二冠を達成したマドリーだが、今季はここまで、ラ・リーガで首位バルサに早くも勝点9差をつけられての2位、CLでは2勝2敗で36チーム中18位と、その歩みは満足のいくものではない。
国内外の多くのメディアは、欧州王者の苦戦の原因を検証。地元マドリードのスポーツ紙『MARCA』は「カオスが起こっている10の理由」と題した記事で、多角的に現チームの問題点を挙げているが、その中で今夏に加入したキリアン・エムバペについては「9番ポジションにフィットしきれていない」と指摘している。
2024年夏の移籍市場における主役であり、パリ・サンジェルマンとの契約満了を受けてついにマドリー入りを実現させたフランス代表アタッカーは、「ロス・ブランコス」の得点力をさらに増加させることが期待されたが、最も真価を発揮できるポジションである左ウイングにはヴィニシウス・ジュニオールがいるため、CFとしてのプレーを受け入れたものの、これがチームの攻撃力を低下させているという。
「最大の問題は、エムバペがヴィニシウスのいるサイドに流れる傾向があることで、これにより、そのエリアが過密になり、中央に基点がなくなることが多々ある。もし一方がサイドへ抜ける動きをするなら、もう一方は中央のエリアにポジションを取るといった、連係が不足している」 また、サッカー専門サイト『90min』は、「スター選手揃いのマドリーにエムバペが加わるのは正しい決断だったかもしれないが、現時点では多くの選手が自分の能力を生かせないポジションに押し込まれている」として、昨季は得点力を発揮し、加入1年目にしてMVP級の活躍を見せたジュード・ベンリンガムが幾度もポジションを変え、さらに頻繁な交代を強いられる中で、まだ1得点も記録できていない状況も、エムバペ加入の悪影響のひとつに挙げた。
これについては、フランス代表のレジェンドであるティエリ・アンリ氏が米国の放送局『CBS Sports』で、「9番のポジションにいるエムバペが本来するべきプレー(裏に走ってラインを破るなどの動き)を、ベリンガムが代わりに行なっているため、攻撃の役割が少し混乱していると感じる。そして、エムバペがこのような役割を好んでいるかどうかは疑わしい」との見解を示している。
その上で同氏は「レ・ブルー」の後輩に対して、「9番としてのプレーや、相手DFラインの裏に走るという姿勢を身につけなければならない。彼は成長するし、今以上に悪くなることはない。ディディエ・ドログバのようにボールをキープしろとは言わないし、ボールを持って全選手を抜き去れと言っているわけでもない。チームが攻撃を仕掛ける時、裏に抜ける動きを見せるのがベリンガムだけという状況はいただけない」と提言した。
同じく元フランス代表で、マドリーでは多くのタイトル獲得に貢献し、バロンドールも受賞したカリム・ベンゼマ(現アル・イテハド)もスペインのサッカー討論番組『EL CHIRINGUITO DE JUGONES』でエムバペに言及している。
「キリアンはCFではない。代表でもCFとしてプレーした場合、良いパフォーマンスは発揮できていない。それが彼のポジションではないからだ。しかし、マドリーの左サイドにはヴィニシウスがいて、彼はキリアンと同じレベルにあるから、CFや右サイドに移すことはできない。実際、左サイトで毎試合、違いを生み出している。これは問題だ」
このように、後輩のポジションについて厳しく指摘したベンゼマは、「キリアンは諦めてはならない。ヴィニシウスがポジションを変えることはないだろう。彼は今、世界最高の選手だ。キリアンは自分が今、自分の役割が9番であることを受け入れ、左サイドでプレーすることは忘れなければならない」と訴えた。
構成●THE DIGEST編集部
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