業界きっての“断然革靴派”が所有する至極の革靴コレクションをご紹介! 靴磨き店や革靴ショップなどの革靴にまつわる名所を舞台に、それぞれの魅力や貴重なエピソードを彼らの革靴遍歴とともに語ってもらった。

刻まれたエイジングが その一足を完成させる。

数々のブランドのディレクションやデザインを手掛け、唯一無二の着こなしから多くのファンを持つアーカイブ&スタイルの代表・坂田さんが選ぶ「トラッドスタイルに欠かせない一足」は〈オールデン〉の[990]だ。

「自分の中のトラッドといえば、ブレザーにデニム。そこに合わせる革靴を選ぶ時に大切にしているのがデニムとの相性です。デニムという“やれ感”のあるパンツに対して、足元はコントラストを付けたいんです。ホーウィン社のシェルコードバンの輝きとデニムのコントラストが最大のポイントで、履き込むことで生まれるシワ、そしてこの武骨な雰囲気もたまらないですよね」。

この〈オールデン〉の[990]を筆頭に数多くの革靴を所有する坂田さん。21歳の時にパリで購入した〈J.M.ウエストン〉の[180]に始まり、様々なブランド、モデルの革靴を購入してきた。そのバリエーションの豊富さは、次のページを見れば一目瞭然だ。

「買い物が好きなので、革靴は増えていく一方です(笑)。世間的に名作といわれる定番はもちろん、初めて知ったブランドでも良いと思ったものは積極的にワードローブに加えています。基本的にはモノ単体で選ぶというよりはどのようなパンツと合わせるとうまくハマるか、コーディネイトを軸に選ぶことが多いですね」。

最後に、これまでに数々のプロダクトに触れてきた坂田さんが思う革靴の魅力とはなんなのかを聞いた。

「革靴だけではなくすべてのモノに共通するのですが、自分が好きなのは“買った時よりも使っていくごと良くなっていくモノ”。良くなる、というのは主観なのですが、着用を重ねることで自分好みにエイジングされていくサマが大好きなんです。所有する革靴のなかには20年以上愛用しているものもありますが、きっと死ぬまで履くのだと思います。

ボロボロになってもそれはそれで魅力になるし、自分の人生に寄り添ってくれるというか、エイジングを重ねることでその一足が100点に近づいていく。ひとつのものを大切に長く使い続けられる、そういう付き合いができるのが革靴の魅力ではないでしょうか」。

アーカイブ&スタイル/代表 坂田真彦さん

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デニムとのコントラストでより一層際立つシェルコードバンの眩い光沢。Alden [ 990 ]

“アメリカ靴の王様”とも称される〈オールデン〉のシグネチャーモデル。外羽根プレーントゥの武骨かつオーセンティックなデザイン、コードバンの中でも最高峰との呼び声高いホーウィン社のシェルコードバンの眩い光沢感など、その魅力を挙げればキリがない。