現地時間11月6日(日本時間7日、日付は以下同)、デンバー・ナゲッツはホームのボール・アリーナにオクラホマシティ・サンダーを迎えた。
両チームは昨季、ウエスタン・カンファレンスでトップタイの57勝25敗(勝率69.5%)を記録し、10月24日の今季開幕戦でも対戦した優勝候補。ホーム開催の初戦を87-102で落としていたナゲッツは、この試合でジャマール・マレー(脳震盪プロトコル)とアーロン・ゴードン(右ふくらはぎ負傷)の主力2人を欠いていた。
一方のサンダーは開幕から無傷の7連勝と絶好調。さらにシーズン初戦から7試合連続で10点差以上をつけて勝利したNBA史上初のチームになるなど、上り調子の状態にあった。
実際、試合は第3クォーター途中にサンダーが最大16点差をつける展開へ持ち込み、48分間のうち35分以上にわたってリードを保持。ジェイレン・ウィリアムズが29得点、10リバウンド、9アシスト、3スティール、シェイ・ギルジャス・アレキサンダーが28得点、6アシスト、チェット・ホルムグレンが15得点、10リバウンドと主軸も期待通りの活躍を見せた。
しかし最後に笑ったのはナゲッツだった。逆転の原動力となったのは今季新加入のラッセル・ウエストブルックだ。マレー離脱後、先発ポイントガードに入った35歳のベテランは、古巣相手にフィールドゴール成功率66.7%(10/15)、3ポイント成功率75.0%(3/4)で今季最多の29得点に6リバウンド、6アシスト、1スティールの大暴れを見せ、124-122での勝利に貢献した。
「現時点では彼らがベストの戦績を残している。でも俺からすれば、自分たちの方がいいチームだと信じている。実際に今夜、俺たちはそのことを示してみせた」。
試合後、ウエストブルックは高らかにそう語った。
ナゲッツではそのほか、クリスチャン・ブラウンが24得点、8リバウンド、2スティール、マイケル・ポーターJr.が24得点、7リバウンド、ニコラ・ヨキッチが23得点、20リバウンド、16アシストのトリプルダブルに2スティール、2ブロックと主軸が奮起。
さらに試合終盤に値千金のブロックを決めたペイトン・ワトソンが10得点、3ブロック、ジュリアン・ストローサーが9得点、5リバウンド、6アシストと続いた。 サンダーに今季初黒星を見舞ったナゲッツは、7日終了時点でウエスタン・カンファレンス4位タイの5勝3敗(勝率62.5%)。マレー離脱後、ウエストブルックが先発入りしてからは3連勝と勢いづいている。
開幕前のメディアデーで、「彼について話す時、誰もディフェンス面について触れない。ただ試合が終わると、彼は毎晩、対戦相手の中でベストプレーヤーだった」とウエストブルックを高く評価していたマイケル・マローンHC(ヘッドコーチ)は、試合後に改めてベテランの働きを称えた。
「ディフェンス面で、彼はロックスターになっているよ。人はそう簡単に性格を変えることはできないが、ラッセル・ウエストブルックについて私が大好きなところは、17年目のベテランになっても、規律を守ろうと一生懸命に取り組むことだ。
17年間もずっと自分らしくやってきた男が、我々が求めることを率先してやろうとしてくれるんだ。ものすごく感謝している。彼はこのチームで非常に熱心に取り組んでいて、多くのものを持ち込んでくれている。責任感も強いんだ」
ウエスタン・カンファレンスは今季も15チームのうち11チームが勝率5割を超えていて、ここ数年と同様に団子レースの様相となっている。マレーとゴードンの離脱は痛いが、強烈な個性と献身的なプレーが持ち味のウエストブルックの加入は、ナゲッツへポジティブな要素をいくつももたらしていると言えるだろう。
文●秋山裕之(フリーライター)