映像作家・映像ディレクターが語るBMCC6Kの魅力とDaVinci Resolveでのルック作り Vol.06 [Blackmagic Cinema Camera 6K Scene]

3:2の画角は楽しい!

山本氏:

せっかくこのカメラで撮るんだったらオープンゲート使いたくなりますよね。せっかく映像センサー全部使えるんですから。

Shuma氏:

そう、もちろんそれをクロップして普通の16:9でやってもいいんですけどね。他の(BMCC6K)使われてる方もみんな言ってますけど、この画角(3:2)いいですよね。横長の画角って、シネマスコープの2.35:1とか好きで使うんですけど、結構難しいんですよ。特に顔に寄った時とか、無駄なスペースめっちゃできちゃう。それをうまく切れるカメラマンって結構レベル高いなと思います。カメラマンだけじゃないですね。ライトもね、背景のライトとか何を配置するのか気にしていないと無地の壁とかになってしまうので。

山本氏:

シネスコは、かっこいいなと思ってるんですけど綺麗に撮れないので、やっても少しだけ切り抜いてシネスコにするくらいで難しいですね。

Shuma氏:

3:2は最初少し苦戦しましたけど、画が作りやすい比率だなって思いました。

山本氏:

オープンゲートもいろんなご意見があって。(先ほどお話に出た)林さんもオープンゲートが使いたいからBMCC6K使うって話をされていて、何がいいのか聞いたら、オープンゲートはほぼ中盤(カメラ)だと思うようになったと言われて、なるほどと思いました。あと別の方ですけど、オープンゲートだと画角の四隅、端っこがすごくボケるっておっしゃっていて。レンズの光学的には真ん中が一番一番美味しくて、隅の方に行けば行くほど少し解像感が失われていくので、その失われつつある端っこのところが逆にエモいとおっしゃっている方もいて、いろんな考え方あるなと思いました。

Shuma氏:

それもあるかもしれませんね。

山本氏:

シンプルに3:2は、16:9の画角に慣れた我々の目を、原点回帰じゃないけど4:3に近しい良さがあるって説明してる方もいて、三者三様みんなオープンゲートに対する捉え方が違っていて、全部言っていること分かるんですよね。

Shuma氏:

この画角(のトレンドが)来ないかなって思ってます。こういうカメラメーカーがスタンダードでこの比率でカメラ作ると、流れを変えていきますよね。

山本氏:

このカメラが発表された時に海外のTwitterや掲示板を見るとオープンゲート!!みたいな感じで、みんなすごい喜んでいたらしくて。やっぱり日本と海外でトレンドちょっと違うんだなって思いました。オープンゲートは確かに難しいと思うんですけど、楽しいので、触る機会があるんであればオープンゲートは是非1回試していただきたいなと思いますね。

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作例3:MV 「Bubble」

Shuma氏:

これはMVで、結構ポップなやつも好きで作るんですが、全部オールドレンズで撮影していて、面白いので是非そこも観ていただければ。

Shuma氏:

こういうレンズ群を使える選択肢があるのがいいですね。


レンズリスト

  • ZENIT MNP-10A 28mm F3.5
  • KIEV MIR MNP-1B 37mm F2.8
  • Helios 44-2 58mm F2
  • JUPITER–9 85mm F2
  • JUPITER–37A 135mm F3.5

山本氏:

このフレアの感じだったり、右下のこの光が差し込んでる感じとか、こういうのがめちゃくちゃ綺麗に映るカメラだと思いますね。

レンズの選択肢が増えるメリット

Shuma氏:

これは太陽光のフレアで、左上も普通の街灯ですね。これは、レンズどっちだったかな。HeliosかJUPITERかどちらかだと思いますが、このレンズもあってEFの時とは違う画作りができました。こういうのは、BMPCC6Kのときにはできなかった。

山本氏:

EFマウントの場合だとEFレンズを使う以外の選択肢基本ないですよね。EFはレンズ資産として大体マウントアダプターでほかのマウントのカメラに使えるけど、逆にEFマウントのカメラに、ほかのマウントのレンズをつけるのはほぼできないので。LマウントはLマウントアライアンス参加してさえいればいろんな選択肢があるから純正のLマウントでもめちゃくちゃいっぱいレンズがある上にマウントアダプターでいろんなマウントつけられるし。

Shuma氏:

このときは、もうPL変換されていたレンズだったので、PL変換してオールドレンズつけて。あとセンサーがでかいのでボケるじゃないですか。だからスーパー35と同じぐらいぼかしたら、ちょっと絞れるんですよ。カメラのレンズって超開放だと性能発揮できないじゃないですか。だからレンズの1番いい部分をいいボケ感で使えるっていうのも、このフルフレームの魅力かな。

山本氏:

スーパー35とかだと、もうちょっと絞ってあげたいんだけど少し明るさ足りないとかね。

Shuma氏:

そう、本当はもうちょいぼかしたいんだけど、みたいな。解像感を犠牲にして開放にしちゃうとかってあると思うんです。

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暗部ノイズについて

山本氏:

ちなみに暗部だと、多少のノイズ感は(あっても)それで別にいって僕は思っているんですけど。暗部で引き合いに出すとソニーのFX3やα7SシリーズはISO3200とか6400ぐらいじゃビクともしないと思いますが、BMCC6Kはそういうタイプではないじゃないですか。その辺は画の表現としてどうですか?

Shuma氏:

必要な分はあるかなって思うんですよね。これも結構夜のシーン多かったですけど。この辺とかも結構暗かったんですよ。

56:00~

Shuma氏:

これ、だいぶ見えてますけど、(現場は)なんでこの場所にしちゃったんだろうっていうぐらい暗くて。ほぼ暗い遠くの街灯と一灯だけ弱く、ランタンか何もつけずに生で打ったのかな。でもそれぐらいで現場はめっちゃ暗かったです。もともとグレインとかも載せているので、ノイズは載っているんですけど、そんなに嫌なノイズじゃないというか。主題に合わせて作ってあげれば、そんなに気にならないかなと思います。

山本氏:

暗部ノイズが気になっちゃうっていうお話も聞くんですが、先ほどおっしゃられた通り嫌なノイズの出方では全然ないんですよね。必要十分な明るさが出てるし。もちろんレンズ選びも必要ですけれど。あとは身も蓋もない話をすると、DaVinci ResolveのUltra NRがすごすぎて、全部あれでいいやって。重たいですけど、レンダーレンダーキャッシュを使いつつ、そのエフェクトを1回決めたら、書き出す前までオフにしといて書き出し直前にオンにしたりしてますけど。

Shuma氏:

そういうノイズ除去を組み合わせてれば、夜シーンも全然使えます。

山本氏:

このカメラってDaVinci Resolveと組み合わせることで、機能全解放みたいなとこあるので。手ブレ補正の部分に関してもジャイロの補正とか相当便利だし。

Shuma氏:

僕は手持ちの揺れもあえて生かすことも多いですね。

山本氏:

ビタ止まりする必要があるかと言われればそんなことないですね。自分で撮るようになってから、テレビや映画観ていて、全部ビタ止まりで作ってる作品なんてむしろないですね。日本のドラマとかだと、結構綺麗に止まってるなっていうのありますけど。

Shuma氏:

でも、これは手持ちでも全然いけるカメラなんで。

山本氏:

全然 手持ちでやっているって方もいらっしゃれば、やっぱりどうしても自分には使いこせないっていう方もいらっしゃって。スキルの部分もあると思うので、慣れていただければと。カメラマンを育ててくれるカメラですから。

Shuma氏:

カメラマンもそうだし、気軽に撮れるのでディレクターもそうだし。カラリストもすごいやりやすいって言ってます。

山本氏:

カラリストの方ほぼ(扱いやすいって)言ってる気がするな。扱いづらいっておっしゃられたカラリストは会ったことないですね。

グレーディング

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Shuma氏:

これはブラックマジックの標準LUT基準にやろうかなと思ったので。

山本氏:

ぶっちゃけ、この状態で十分も成立してますけど。ここからどういう風に調整したんですか。

Shuma氏:

これも綺麗でいいなと思ったんですけど、もう少しコントラストのパキッと感を消そうと思って。その調整をして、そこから明るさをちょっと上げて、青側に振りたかったのでホワイトバランスを少し青方向に振っています。

Shuma氏:

最近DCTLとか使うも人増えてきたと思うんですけど、この時はカラーバランスのOFX使いました。やる時によって変えますけど、破綻が少ないというか綺麗なグラデーションで変化してくれるので、こっちで調整する人も最近だいぶ多いなっていう感じです。


Shuma氏:

僕は、肌の赤みとかが嫌いなので、その辺の調整をここでしています。さらに全体のブルーをシアンブルー方向に振ったりしています。あとはグレインとブラーですね。僕はちょっと柔らかい感じが好きなので、ほんの少しだけブラーかけて、ちょっとやりすぎたらシャープネスでちょっと戻してあげるみたいな調整はよくしますね。最後にコントラストをもう1回調整したりして肌をまた別で調整してあげるっていう感じの調整をこの時はしました。

山本氏:

標準でも綺麗だったけど、またちょっと違う方向性の色になってるという感じですね。

Shuma氏:

こういう浅い画もしっかり作れるっていうのもいいなと。今回、結構シンプルに作ってるので(グレーディングに)そんなに時間かかってないですね。

山本氏:

多分LUTベースでグレーディングする時は、あの(BMD純正のLUTの)中から自分の好みのものを選んでやるのが一番早い気がしますね。全部手動でニュートラに戻していくってやり方も当然ありますけど。

Shuma氏:

あのLUTはいいスタート(地点)ですよね。何が変わったかわならないですが、BMCC6KからただのLUT当ててもすごくいいコントラスト感が出るんですよね。

山本氏:

僕は、この標準で入っているGeneration 5のFilm to Extended VideoのLUTがめちゃくちゃ好きで、これをベースにグレーディングすることが多いです。

Shuma氏:

本当にね、めっちゃ綺麗ですよね。