これまで数多く作られたアニメ映画のなかには、過激な内容によって年齢制限が設けられた作品が存在します。いったい、どんな描写があったのでしょうか。
『地下幻燈劇画 少女椿』の原作となった『少女椿』コミックス(青林工藝舎)
【画像】え…っ?「どう見てもポスターがド下ネタです」 こちらが衝撃の「R指定」アニメ映画です(7枚)
そもそも難解で子供にはすすめづらい?
毎年いくつかの作品が興行収入の上位に入るアニメ映画にはさまざまジャンルがあり、場合によっては大人向けの原作を映画化して過激なシーンが多く描かれていることもあります。なかには、トラウマになるような刺激の強い描写でR指定となった作品もありました。
『虐殺器官』
2017年のアニメ映画『虐殺器官』は、伊藤計劃先生の長編SF小説が原作です。物語は、アメリカ軍特殊部隊隊員の主人公「クラヴィス・シェパード」と、世界各地の紛争やテロの影に関わる元言語学者「ジョン・ポール」との対峙を描いています。
「戦争」をテーマにした本作には、R指定も納得の残虐なシーンが多数含まれていました。銃撃によって兵士や子供の身体や頭部などがもげ、大量の血しぶきが飛ぶ場面など、思わず目を覆いたくなる描写も少なくありません。
また、ジョンが人間の内面にあるメカニズムを利用し虐殺を引き起こす設定も、大人向けの難解さがあり、観る者を作品世界に引き込みます。苦手な人にはおすすめしづらいですが、「作画が原作イメージに合っていて満足」「適度なグロさが作品をシリアスに引き締めている」と高く評価された作品です。
『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』
ヨネダコウ先生の人気マンガ『囀る(さえずる)鳥は羽ばたかない』は、2020年に『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』としてアニメ映画化されました。
ヤクザの世界を舞台に、性に奔放なヤクザの若頭「矢代」と、彼の付き人兼用心棒「百目鬼力(どうめき ちから)」が次第に惹かれあっていくBL作品です。数多くの濡れ場や暴力シーンが含まれ、特に矢代の変わった嗜好が顕著に描かれています。
冒頭から矢代が友人の家に監視カメラを設置して盗撮する場面や、事務所で上司と行為に及ぶ描写が登場する本作は、「刺激の強い性愛描写」がみられるとして、劇場公開時はR18+の年齢制限が設けられました(配信版は一部規制されR15)。
ネット上でも「ヤクザものというテーマが霞むほど耽美なラブシーンが多く満足」「ふたりの一挙手一投足に目が話せなかった」と、ふたりの過激な場面を本作の大きな見どころとして推す人が多くいます。
『地下幻燈劇画 少女椿』
1992年制作の『地下幻燈劇画 少女椿』は、丸尾末広先生によるマンガ『少女椿』を原作としたアニメ映画です。これまでいくつか映画祭のほか、地下室や神社境内など特殊な状況、演出での仕掛け上映が行われたほか、通常の映画館で上映を行う際には、一部シーンをカットした「映倫通過版」のフィルムがR指定で公開されています。
母親を失った主人公「みどりちゃん」が見世物小屋に引き取られるところから物語が始まり、奇形、児童虐待、強姦など、タブー視される描写が多く、生きた鶏をそのまま食べさせられたり、心の拠り所だった子犬を踏み潰されたりなど、目を背けたくなるシーンが続きます。
1999年に海外映画祭での上映後、フィルムが成田空港の税関で没収、廃棄されるなどの事件もあり、なかなか観られない幻の作品を鑑賞した人からは、「仕掛け上映で観たけど過激なシーンと連動して毛糸が投げ込まれるなど、通常の倍以上楽しめた」「物語が作り込まれておもしろいけど、描写のすべてがぶっ飛んでた」といった感想が出ています。