重心の動きをパスと打ち出し角に近づける


ヘッドが体の回転に合わせた円弧を描く(イン・トゥ・イン)ことで、ボールをしっかりつかまえながら”押す”ことができる

インパクト効率を上げる条件として、ヘッドが描くパスとヘッドの重心が動くパスを一致させるというものがあります。簡単にいえば、イン・トゥ・イン軌道でインパクトの瞬間に重心がヘッドを押してくれている状態です。この重心の「押し」がボールに圧力を加え、それが初速へと転換されます。

またFW・UTの場合は、上下の重心の動き(写真上)にも着目してください。打ち出し角と重心の動きに差がない(=入射角がゆるやかである)ほど、重心がボールに与えるエネルギーが大きくなり、インパクト効率の向上につながります。平面の動きと上下の動きの両方でボールを押し込んでいくことが、FW・UTの飛距離アップには欠かせない要素なのです。

ヘッドの動き(白矢印)とボールの打ち出し方向(黒矢印)を一致させると、重心がボールを「追いかける」ような動きになり、エネルギー効率が上がる。スピン量も適度に減り、弾道に強さが出てくるので飛びにつながる

(広告の後にも続きます)

「ヘッドを左に振る」ことが重心の“押し”を生む

インパクト以降、ヘッドの重心がボールを押していくためには、ヘッドをしっかりとインサイドに振り抜いていく必要があります。アマチュアは方向性を気にするあまり、ヘッドを飛球線方向に出そうとする傾向がありますが、これがインパクト効率を下げる原因。

また、ヘッド重心がパスから外れるとフェースの動きが不安定になるため、方向性にも悪影響が出るのです。怖がらず、胸の回転に連動させながら左サイドへしっかり振り抜くことで、飛距離アップと方向性の安定が両立できます。

入射角が鋭角(白矢印)になり、ボールが打ち出される角度(黒矢印)との差が大きくなると、エネルギーが伝わりづらくなる(×)。ヘッドの加速、重心の動き、どれについても「ゆるやかな入射角」が重要なポイントになるのだ

「しっかりグリップ」で飛ばす準備は完了!

Drill1:ヒザ立ち打ち


ヒザ立ちの体勢でもクリーンヒットできれば7割前後の飛距離は出せる。「当たる、飛ばせる」がしっかりグリップができているかの目安だ

「ヒザ立ち打ちドリル」は、地面とクラブの距離が近くなるため、少しでもヘッドが垂れるとボールの手前をダフってしまいます。正しくクリーンにヒットするために、まずはしっかりグリップを握る。そこから胸の回転で打っていくのが正しい動き。

しっかりグリップの目的は、振り遅れを防いでゆるやかな入射角と安定したダイナミックロフトを維持すること。それができていないとミスが顕著に出るドリルなので「しっかりグリップからの正しい動きができているか」のセルフチェックにも最適です。

Drill2:右手1本打ち


振り遅れやインパクト時のフェースの開きを助長する要因になるので、右手の“押し”を意識して打とう

「右手1本打ちドリル」は、ヘッドを振り遅れさせずにしっかりと胸の回転と連動させる感覚をつかむのに有効です。右手1本だと腕にかかる負荷が上がるので、グリップをしっかり握る意識づけにもなります。


左手でクラブを引っ張る意識が強すぎると、
手だけが先行してしまい体の正面から外れる(×)。

アドレスでしっかりとグリップを握ったらバックスイングからフィニッシュまで、グリッププレッシャーはずっと維持したままヘッドの慣性に負けないように押し込んでいくイメージが◎。片手打ちだとオフセンターヒット時にフェースがブレやすくなりますが、ブレないように打つことで「芯でヒットする」練習にもなります。

いかがでしたか? しっかりグリップで飛距離アップを目指しましょう!

レッスン=奥嶋誠昭
●おくしま・ともあき/1980年生まれ、神奈川県出身。最先端のスイング・弾道解析器を使い、その研究成果をツアープロやアマチュアにフィードバックするレッスンが好評の人気コーチ。「THE REAL SWING GOLF STUDIO」主宰。

構成=石川大祐 
写真=相田克己
協力=日神グループ 平川CC