「調整額が増えたところで仕事の負担は減らない」
この30代女性教諭は、「教職調整額」が引き上げられようと「残業代」が支払われようと、問題解決にはならないと言う。
「どんな給料形態になろうと教員の仕事量が減るわけではないので、根本的な問題解決にはつながらないように思えます。仮に残業代支給の案が実現したところで、管理職から『残業するな』と圧がかかり、家に仕事を持ち帰ることになっては意味がないので、業務内容が改善されることを求めます」
さらに、仮に残業代支給が実現したとしても、次のような点に留意してほしいと言う。
「教員の中には、仕事が極端に遅い人や明らかに何も用事がないのに遅くまで学校に残っている人もいます。残業規定がどのような内容になるかが重要だと思います。
『教員は残業するのが当たり前』という風潮があるので、もし政府が残業代支払いを本当に検討してくれているのなら、大きな一歩だと思います。残業代が出ないことは、教員のなり手不足の大きな原因のひとつだからです。現状、残業代が出ないのをいいことに、際限なく仕事が振られているように感じます」
最後に、東京都公立小学校の男性教諭のこんな言葉も印象的だった。
「多くの教員が、もうあきらめムードです。調整額が増えたところで負担は減らないからです。教育学部に通う学生たちからも“働いた分の対価が得られないなんて意味不明だ”という声をよく聞きます。
本来であれば残業代支給が好ましいとは思います。でも、おそらく阿部俊子文科相が否定しているのなら、残業代支給の策が実現することはないのでしょう。それであれば現場の人手を増やし、教師一人一人の業務量を減らしてほしい」
男性教諭は「時代に合った教育内容がかなり組み込まれ、教える範囲と業務量が莫大に増えた。国は一刻も早く、教師の給料形態よりも業務環境の現状見直しに重点を置いてほしい」と願う。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班