「目ちっさ!」と笑われた過去もなんのその…ノー整形“別人メイク”動画で大バズりのヘアメイク事務所社員が乗り越え、目指すもの

まるで魔法のような大変身を遂げる“別人メイク”動画が大バズりし、総再生回数2500万超を誇るYouTubeチャンネル『ヘアメイク事務所に勤務する女子の日常』のHARAさん。誰もが驚くその卓越したメイク術はどこで培ったのか、これまでの経歴や発信に込めた思いなど、知られざる“素顔”に迫った。
 

1回の“別人メイク”で8時間かかることも

『ヘアメイク事務所に勤務する女子の日常』は、その名のとおり、都内のヘアメイク事務所が運営し、そこに所属する女性社員がさまざまなメイク動画などをアップするYouTubeチャンネルだ。

同社はもともとTikTok上でコンテンツを配信していたが、その1ヶ月後の2023年6月にYouTubeアカウントを開設。このわずか1年半のあいだに、YouTube・TikTokともにミリオン再生を連発している状況だ。

このチャンネルを牽引するのが、まるで別人のような大変身メイクが話題となっている入社3年目のHARAさんだ。本人に、そのメイク術や容姿にまつわる過去のエピソードについて聞いてみた。

──だいたい、1回の変身動画でメイクにどれくらい時間がかかるんですか?

HARAさん(以下、同) もうめちゃくちゃかかっています……。慣れていくうちに短時間でできるようになっていったんですけど、最初は平均5時間くらいかけていましたね。最長だと、アラビアコスのショート動画なんて本当に1日がかりで。

 1パターンじゃなく、いくつもメイクしながら撮影していくので、結局8時間くらいかかっちゃいました。メイクも撮影も事務所内でやっているんですけど、食事もメイクの途中で食べましたね(笑)。

──フルタイム労働くらいメイクしていますね(笑)。メイクで激変するうえで、一番重要な顔のパーツはどこでしょうか?

一番は目ですね。ただ、最近はノーズシャドウのメイク術(鼻の立体感を出すメイク)についてもコメントでよく聞かれるようになりました。1つ選ぶとすればやっぱり目ですが、トレンド的にはノーズシャドウやハイライト、フェイスカラーの2つもすごく重要です。ここが変わるだけで、顔の印象が大きく変わります。

──そもそも、事務所にはどういった経緯で入られたんですか?

もともとメイクの専門学校に通っていたんですけど、そこで現在の事務所の代表に出会って、そのまま入社させていただきました。

──メイクには、いつごろ目覚めたのでしょうか?

そもそも自分の顔にコンプレックスがあって、保育園のころに初めて「アイプチ」をしたんです。「自分の顔を変えたい」「可愛くなりたい」という気持ちから、幼少期からずっとメイクに興味がありましたね。本格的にメイクを始めたのは中学生のときで、ヘアメイクさんになりたいと思ったのもそのころです。

──当時を振り返ると、やはり今でも暗黒時代に感じたり、葛藤があったりするのでしょうか?

めちゃくちゃ感じますね。特に自分の目にすごくコンプレックスがあって、しばらく眼鏡を外せない時期がありました。高校生になってコンタクトに変えましたが、それまでは「眼鏡は絶対に外さない」という感じで過ごしていたんです。

でも、体育の授業では先生に「危ないから外せ」と言われたり、どうしても外さなきゃいけない場面もあったりして。そのとき、仲がいい友だちからも茶化す感じで「ヤバ! 目ちっさ!(笑)」なんて言われることもありましたね。目だけでなく、鼻についても気になるところがあって、当時は本当に顔中コンプレックスだらけでした。

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容姿にコンプレックスを抱えていた時期も「メイクさんになってやっと見返せる」 

──そんな経験が…。「茶化すように」とおっしゃっていましたが、容姿でいじめられることもあったんですか?

別にいじめとかではなかったですね。私も結構ポジティブに言い返しちゃう性格なので、「あいつには反撃されるからやめとこう」みたいな(笑)。

他人の容姿に対してあれこれ言う人には、当時から面と向かって指摘していました。どんなに周りが賑やかな雰囲気でも、本人が笑っていても、相手を傷つけるような発言をする人には、場の空気を壊さない程度に注意していました。そうしたこともあって、次第に私に対してそういう発言をする人はいなくなったんだと思います。

ただ、仲いいからこそイジられてしまうというときもあったので、余計に「本当に傷ついた」とは言えないときもあって…。だから家に帰って、すごく落ち込むこともありました。今でも「誰から、どういったシチュエーションで言われた」ということを、鮮明に覚えています。

──そうした経験は、現在「見返してやろう」という気持ちにつながっていますか?

そうですね。容姿を揶揄してきた人たちの顔と名前は、私、本当に全部覚えているんです。このチャンネルがどんどん成長するにつれて、そうした人たちに対して「メイクさんになって、やっと見返せる」という気持ちは、正直少しありますね。

──当時の同級生から連絡がくることもあるのでしょうか?

はい、めちゃくちゃあります(笑)。揶揄してきたような人たちとはSNSでつながっていないんですが、友人たちは「見てるよ!」「チャンネル伸びてるね」と、とても応援してくれています。

もともと、このチャンネルはたくさんの人に見てもらいたいという気持ちがあったので、個人の連絡先やSNSを通じて「チャンネル始めたから、みんな見て!」と発信していました。だから、動画配信を始めた当初から見続けてくれている人も多いみたいです。それに、私は友人にも「メイクで生きていく!」とずっと言っていたので。

──有言実行ですね。実際に有名になってみて、どのような部分でやりがいなどを感じますか?

メイクアップアーティストとしてモデルさんにメイクをさせてもらったとき、「めっちゃ変わった!」って言ってもらえる瞬間があって、それが本当に楽しいし、とてもうれしいですね。この“メイクで変われる楽しさ”をもっとたくさんの人に届けたい。YouTubeチャンネルを作ったのも、「みんなでメイクを楽しもう!」という気持ちが根底にあるからなので。

見た目について揶揄されたときの心の傷って、私も含めて、どれだけ時間が経っても、なにを経験しても、完全には消えないと思います。でも、メイクを通して少しでも前向きになってもらえたらいいなと。その気持ちが、やっぱり一番大きいですね。