糖質制限ダイエットは絶対やってはいけない3つの理由…医師が解説する“納得”しかないその根拠

やせようと思うとき、まず糖質制限ダイエットを考える人も多いだろう。しかし、このダイエット法は長期的な効果が期待できないばかりか、健康にも悪影響があるという。

UCLA准教授で医師の津川友介氏の著書『正しい医学知識がよくわかる あなたを病気から守る10のルール』より一部抜粋・再構成し、確かなエビデンスに基づいた、糖質制限ダイエットをおすすめしない理由を解説する。

糖質制限ダイエットは死亡率を高める

日本では、「糖質制限ダイエット」が根強い人気を博している。

しかし、私はおすすめしない。体重を減らすという目的は達成できるかもしれないが、死亡率が高くなるなど健康を害してしまうリスクが報告されているからである。

さらに言うと、たしかに糖質制限では比較的短期間で体重減少やウエストが細くなったことを実感できるかもしれないが、6か月以上継続することが難しいことも知られている。

ここでは「炭水化物」に注目して、研究から分かっていることを説明する。

ご飯、パン、麺類などの炭水化物は食事の中で大きな割合を占める重要な要素である。なんとなく炭水化物は身体に悪い、もしくは太る原因になると思われていて、悪者にされがちなのだが、実はこの理解は間違っている。

最新の科学では、炭水化物をうまく選んで味方につけることで、空腹をがまんするなどのストレスを感じることなく、健康になり、痩せることができると考えられているのだ。

炭水化物の中には、白米や小麦粉などのような「精製された白い炭水化物」と、玄米や全粒粉、蕎麦のような「精製されていない茶色い炭水化物」の2種類がある。そして前者は健康に悪いのに対して、後者は健康に良いという180度逆の影響がある。

白い炭水化物を食べている人ほど、糖尿病のリスクが高く、死亡率も高いことが知られている。

一方で、茶色い炭水化物を食べている人ほど、逆に糖尿病のリスクが低く、大腸がんのリスクや死亡率も低いと報告されている。これは、茶色い炭水化物の外皮などに含まれる不溶性の食物繊維やその他の栄養素が健康に良いからであると考えられている。

(広告の後にも続きます)

炭水化物は減らしすぎると不健康になる

実際に、炭水化物の摂取量と死亡率の関係を評価してみると、U字の関係にあることが分かっている。つまり、炭水化物の摂取量は多すぎても少なすぎても不健康になってしまうということを意味している。

この研究をもう少し詳しく見てみると、動物性のたんぱく質・脂質の摂取量が多い人においては、糖質制限ダイエットをしている人の全死亡率、心筋梗塞などによる死亡率、糖尿病の発症リスクが高いという結果であった。

一方で、植物性のたんぱく質・脂質の摂取量が多い人においては、逆に糖質制限ダイエットをしている人の全死亡率、心筋梗塞などによる死亡率、糖尿病の発症リスクは低いという結果であった。

人は食べないとお腹が空いてしまうので、食事の量を単純に減らすということは難しい。何かの摂取量を減らすと、その代わりに何かほかのものを食べることで空腹にならないようにする傾向があるのだ。

糖質制限ダイエットをしている人の中には、肉などのたんぱく質の摂取量を増やすことで満腹感を得ている人も多いが、肉は食べすぎると大腸がんのリスクを増やしてしまうなど健康に悪影響がある。

そもそも、不溶性の食物繊維が豊富に含まれる「茶色い炭水化物」の摂取量が減ること自体も、大腸がんのリスクを上げる原因になる。見た目がスリムになれるのであれば大腸がんのリスクが上がってもよいと思っている人は少数派だろう。

多くの人は、このような「諸刃の剣」のダイエット法ではなく、がんのリスクを上げることなく痩せたいと思っているはずだ。

そこで「茶色い炭水化物」の出番である。白い炭水化物を茶色い炭水化物に置き換えることで、健康に良い効果があるだけでなく、ダイエットになることも研究結果から分かっている。