悲願のスーパーフォーミュラ王座逃した牧野任祐、絶好調のチームメイトと対照的にまさかの苦戦。「何もできなかった」と悔しさあらわ

 2024年のスーパーフォーミュラ最終ラウンドである第8戦・第9戦鈴鹿を、チャンピオン獲得の可能性を残した状態で迎えたDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの牧野任祐だったが、結果的にはこの鈴鹿2連戦で苦しんだ結果、悲願の初タイトル獲得はならずランキング3位でシーズンを終えた。彼にとっても、予想外の苦戦だったという。

 スーパーフォーミュラ参戦6年目の牧野は、第2戦オートポリスで初優勝を飾ると、第3戦以降の5レースも高いレベルの安定感を見せて全戦5位以上(1勝含む)を記録。ポイントリーダーの坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)と14.5ポイント差のランキング2番手で鈴鹿に乗り込んできた。

 同じく鈴鹿で行なわれた開幕戦では10位に終わった牧野だが、そこで苦戦した理由も「なんとなく分かっていたつもりだった」と振り返る。その反省を踏まえて対策を施してきた形だが、土曜の第8戦ではチームメイトの太田格之進、そして坪井に及ばず3位。第9戦は予選での失速も響き、8位という結果に終わった。

 鈴鹿に向けた対策が機能せず、特にレースペースで苦しんだと語る牧野。予想外の苦戦でタイトルを失った悔しさもあってか、ダンディライアンのチームタイトル獲得を祝う表彰式でも、どこか複雑な表情を浮かべているようにも見えた。

 レース後の牧野はこう語る。

「本当に今回の最終2レースは大苦戦というか、正直自分でもここまで厳しい戦いになるとは思っていませんでした」

「シーズン途中からレースペースも良くなっていて、なんとなく『これかな』と見つけたものもありましたし、開幕の鈴鹿でダメだった理由もなんとなく分かっていたつもりでした。それに対してやってきたことが、正直あまり機能しませんでした。特にレースペースがかなり厳しかったです」

 特に今週末の牧野は、チームメイトである太田とは対照的なパフォーマンスだったと言える。太田は土日の2レースで共に優勝し、ライバルを全く寄せ付けないようなレベル違いのレースペースを見せた。当然、チームメイトの5号車牧野陣営も、6号車の太田がどのようなセットアップをしているかは把握している。ただこれまでにも語られてきたように、スーパーフォーミュラは車体が全車共通と言えど、車体それぞれの個性に合わせたセッティングが必要であり、速いマシンのセットアップをコピーしたところで同じパフォーマンスが出せるとは限らない。

「6号車が速いことは分かっていましたし、同じセッティングにするというのも、もちろんやっていましたし、データも共有しています」と牧野。

「ただ、同じ(パフォーマンス)になることはありません。それはみんな一緒だと思いますけどね。(6号車は)すごく良い(スイート)スポットに入っているんだと思いますが……難しいですね」

「今日とかも、(6号車の)ほぼ完コピみたいな感じで走っていたんですけど、全く戦える状況ではありませんでした」

「同じチームの隣のピットのマシンが2連勝しているのを見ていると、チャンピオンシップを考えてもチャンスがあったんじゃないかと思っている部分もあるので、そういう意味でもすごく悔しい最終大会になりました」

「正直、何もできなかったなというのが本音です」