キヤノン「RC-IP1000」
次に、キヤノンから発売されている「RC-IP1000」コントローラーを見ていこう。
PTZカメラコントローラーの中では最後発で、その分各社のコントローラーを研究している印象を受けた。本体中央には大型のタッチパネル画面を備えており、カメラの設定だけでなく、キヤノン独自の「XCプロトコル」を経由して映像受信を行い、映像確認も可能だ。昨年のアップデートで、受信した映像をマルチ画面で出力することも可能となり、映像制作の現場でさらに便利になった。
入出力端子は拡張性に優れ、12G-SDIでの4K60P映像入出力や、IPスイッチを介したIP映像入力、HDMI出力に対応。SDI/HDMIで外部モニターへの出力が可能で、ライブオペレーション時の大画面確認にも便利だ。
スイッチャーとの連携をSDI/GPIO経由で可能で、カメラ選択と映像切り替え、タリーランプの同期を実現できる。電源供給はPoE+とDC 12V入力の4ピンXLRコネクターに対応しており、設置環境に応じた選択が可能だ。
また、コントローラー本体から自動追尾機能のON/OFF操作が可能で、2024年6月のファームウェアアップデートにより、追尾対象の表示位置を変更できるシルエットを表示しての操作も可能になったことで、今まで以上にPC不要でスムーズに操作が可能だ。
実際に操作してみたところ、ジョイスティックの反応は非常に良く、より精密な動きにも機敏に反応してくれる印象だ。センターパネルはカメラのプリセットと選択が切り替えできるので、用途に応じて使い分けが可能だ。
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パナソニック「AW-RP150GJ」+「Media Production Suite」
最後に、パナソニックの「AW-RP150GJ」とソフトウェアプラットフォーム「Media Production Suite」について見ていこう。
まず、AW-RP150GJの特徴的な部分はジョイスティックだ。他社のジョイスティックはズームコントロールを回すことで対応しているが、AW-RP150GJはジョイスティック部にシーソーレバーが搭載されており、より精密なズームコントロールが実現されている。
実機を操作してみると、ジョイスティックは今回比較した中で最も大きく、握りやすくコントロールしやすいと感じた。
プリセット切り替え時のパン・チルト・ズームを同期させる「PRESET PTZ SYNC MODE」はOFFになっています。この機能について、詳しくはこちらをチェック
豊富な入出力端子を備え、2系統のGPIO端子と3G-SDI入力およびスルーアウト、LANポート、5ポートのRS-422により、柔軟な現場システムの構築が可能だ。また、PoE+とDC 12Vによる電源供給にも対応している。
次に「Media Production Suite」についてだが、これはIntel Core第7世代(Kaby Lake)以降のPCでインストールして動作するサーバーソフトウェアだ。基本的にはWebUIで操作するが、サーバーソフトウェアを起動した上でGUIソフトを立ち上げる必要がある。
立ち上げると、画面中央上部にはリアルタイム映像、下部にはプリセット、サイドパネルにはPTZコントロールやAuto Tracking機能の操作ツールが表示され※1、直感的に操作が可能だ。サイドパネルのツールは用途に応じて全体に拡張して表示もできるため、詳細な設定が必要な場合に便利だ。
※1:同ツールが有効になるのは、カメラが内蔵自動追尾に対応している場合、またはMedia Production Suite上でAuto Trackingプラグインが有効になっている場合です。
Media Production Suiteのカメラ登録も非常に簡単で、サーバーPCとPTZカメラを同じネットワーク内に設定し、カメラ検索を行えば登録できる。