これからの課題
この研究は、サボテンの進化をより正確に理解するための第一歩に過ぎません。
今後は、もっと詳しいデータを集め、進化を説明できる新しい方法を開発する必要があります。
サボテンは特に乾燥地帯や半乾燥地帯で見られる、非常に特徴的な植物です。
そのため、進化の研究対象としても注目されていますが、多様化を引き起こす要因を突き止めるのは難しく、この問題はサボテンだけでなく多くの植物に共通しています。
サボテンの多様化のメカニズムは、機械学習ツールを用いて解明されつつあります。/ Credit : Canva
この課題に対処するため、今回の研究では膨大なデータを機械学習で効率的に分析し、多様化を促す5つの主要な要因を明らかにしました。
これにより、サボテンだけでなく、他の植物の進化にも新しい視点をもたらす可能性があります。
今回の研究では、サボテンの多様化が気候や土壌などの無機的な要因だけでなく、サボテン自身の大きさや分布範囲といった生物的な要因も大きく関わっていることが分かりました。
特に、極端な環境ではなく中程度の環境条件がサボテンの多様化を促進しているという発見は、私たちの進化に対する理解を深めることになりました。
サボテンという植物は、その過酷な環境に耐える姿が象徴的ですが、実はその背後には多くの進化のドラマが隠されています。
これからもサボテンの進化についての研究が進むことで、ますますその魅力が明らかになっていくことでしょう。
参考文献
The cactus family’s surprising evolutionary journey(New Scientist)
https://www.newscientist.com/article/2448468-the-cactus-familys-surprising-evolutionary-journey/
元論文
Identifying the multiple drivers of cactus diversification
https://doi.org/10.1038/s41467-024-51666-2
ライター
鎌田信也: 大学院では海洋物理を専攻し、その後プラントの基本設計、熱流動解析等に携わってきました。自然科学から工業、医療関係まで広くアンテナを張って身近で役に立つ情報を発信していきます。
編集者
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。
大学で研究生活を送ること10年と少し。
小説家としての活動履歴あり。
専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。
日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。
夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。