互いを尊重しあうスポーツマンシップ溢れるシーンだった。
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯は11月8日から10日まで国立代々木競技場第一体育館で行なわれた。女子シングルは坂本花織が3年ぶり3度目の優勝を飾り、千葉百音が2位、青木祐奈が3位に入り、表彰台を日本勢が独占。16年ぶりの快挙を成し遂げた。一方、男子は鍵山優真が合計300.09点で大会連覇を達成。直後に行なわれたメダリスト会見で微笑ましいやり取りがあった。
ショート首位で折り返した鍵山は最終滑走で登場した。冒頭の4回転フリップは転倒してしまったが2つ目の4回転サルコウ、続く4回転+3回転のトウループを高い出来栄え点で着氷。ミスを引きずらずに演技をまとめて得点は194.39点、ショートとの合計は驚異の300点超えを果たした。
表彰式では逆転2位のダニエル・グラスル(イタリア)、そして初の表彰台に立った壷井達也と喜びを分かち合い、記念撮影では盟友と笑顔でツーショットに収まった。
メダリスト会見では、今週末に鍵山とグラスルが出場するGPフィンランド大会(15日~17日)について質問が飛んだ。息つく暇もないハードスケジュールのなか、再びイタリア人スケーターと相まみえる鍵山は「NHK杯と変わらず、自分自身のやるべきことをしっかり最大限こなしていけたらと思います。ダニエル選手はたくさんの4回転を跳ぶ選手なので、7月からトレーニングを再開して調子を取り戻すこと自体、本当にすごい。たくさんトレーニングを積んできたんだろうなと思うので、フィンランドでも一緒に戦えることが楽しみです。ハラハラ、ドキドキしながらの試合にできると思う」と評し、次戦でも上位を争うであろうライバルとの戦いを心待ちにした。
鍵山の回答にグラスルは「サンキュー!」と笑顔を浮かべ、「ユウマとはジュニアや世界選手権、GPファイナルとたくさん戦ってきた仲間だから僕も楽しみにしているよ」と返した。 さらに声を弾ませながら、次のように日本人スケーターを称えた。
「今シーズン、僕のお気に入りのスケーターのひとりにユウマを必ず挙げているんだ。それにプログラムも大好きなんだ。だからフィンランドでも非常に楽しみだし、ユウマの前に僕が滑って、そのあとゆっくり(演技を)見せてもらうのがとても楽しみで待ちきれないよ」
「(鍵山は)憧れの存在のひとりであることは間違いないよ。だから、これからもずっと彼を見続けて、追い続けていきたいと思う。不可能だとは思うけど、いつかスケーティング技術も含めて彼と同じようになりたいんだ」
最後まで絶賛するコメントを続けたグラスル。べた褒め連発に鍵山本人は照れくさそうな表情を浮かべながら、「Thank you so much!!(本当にありがとう)」と笑顔で返答。会見後や翌日のエキシビションでも、2人で仲良く談笑する姿を見せた。
鍵山は次戦で優勝すれば、12月のGPファイナル(フランス・グルノーブル)進出が確定する。4回転ルッツ、ループなど高難度のジャンプを駆使するグラスルをはじめ、フィンランド大会にエントリーしている山本草太や友野一希など、切磋琢磨し合うライバルたちとの氷上バトルに再び注目だ。
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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