人気を博したマンガ作品の最終話は、多く読者から注目が集まります。謎だった伏線が、どのように回収されるのか期待する人もいるなか、作品によっては未回収のまま物語に幕を閉じることもありました。そういった作品ほど物議を醸しがちですが、具体的にどのようなマンガが「読者お任せ展開」のラストとなったのでしょうか。
『アイアムアヒーロー 完全版』第22巻 著:花沢健吾(プロテカ)
【画像】え…っ? 「可愛かったのに」「マジでトラウマ」 こちらが『アイアムアヒーロー』英雄のゾンビ化した彼女「てっこ」の最悪なビフォーアフターです(4枚)
真相をあいまいなままに…
ずっと追いかけていた作品の結末は、最後まで見届けたいものです。しかし、いざ最終話を迎えてみたら、大事な部分に触れられずあっさりと幕を閉じ、モヤモヤさせられることもあります。そういった最終話を描いた作品は納得できないファンが多く、たびたびネット上で物議をかもすのです。
※この記事は、マンガ『アイアムアヒーロー』、『LIAR GAME』、『東京卍リベンジャーズ』の最終話の内容を含みます。未読の方はご注意下さい。
まず、最終回で物議をかもした作品といえば、「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載された『アイアムアヒーロー』(作:花沢健吾)です。同作は、さえない主人公「鈴木英雄」が、謎の感染症によってまん延したゾンビ「ZQN」と戦います。
最終話では「ZQN」がいなくなった東京で英雄がひとりで生きる姿が描かれ、幕を閉じます。読者が気になっていた「ZQN」の正体や、大型「ZQN」に取り込まれたヒロイン「早狩比呂美」について触れることはありません。
未回収の伏線が多い状態での完結になったことについて、ネット上では「読者にゆだねすぎでは?」「考察しがいのあるラスト」と意見が分かれています。
なお『アイアムアヒーロー 完全版』では、85ページに及ぶエピローグである第265話が加筆されました。この内容には、最終回に否定的だったファンからも「納得できた」という声があがっていました。
続いて「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載された『LIAR GAME』(作:甲斐谷忍)です。同作は、素直すぎるヒロイン「神崎直」が、謎の組織が主催する「ライアーゲーム」というトーナメントに参加し、天才詐欺師「秋山深一」とともに勝利を目指します。
最終話周辺で、「ライアーゲーム」は販売中止になった海外の小説がもとであること、開催されたのは今回が初めてではないことが明かされます。そして、直たちは次の「ライアーゲーム」を配信で観ますが、途中で映像が途切れました。ラストは「圧力をかけて消させたな」「あの闇の権力者が」と語られるのみで、完結します。
意味深な幕切れに、読者からは「続編があるってことなのかな?」「打ち切り? と思ってしまうほど急な終わり方だった」などの声があがりました。とはいっても物語の設定やゲームで繰り広げられた高度なだまし合いは高く評価されており、「最終回以前はかなり面白かった」といった感想も少なくありません。
最後は「週刊少年マガジン」(講談社)にて連載された『東京卍リベンジャーズ』(作:和久井健)です。26歳でフリーター生活を送っていた主人公「花垣武道」が、過去へタイムリープして、中学時代の彼女「橘日向」を救うために奮闘します。
何度もタイムリープを繰り返し、最終的には日向だけでなく仲間の運命まで救いました。最終話では、それぞれの道で活躍する仲間たちと、彼らに祝福される武道と日向の結婚式が描かれます。ハッピーエンドで終わったものの、「稀咲鉄太」の秘密や武道が見た未来視の詳細など、未回収の伏線が多いままだったため物議をかもしました。
しかし、その一方で「何はともあれ、ハッピーエンドで良かった」と喜ぶファンも少なくありません。
作品の最終話は人気で注目度があるだけに物議をかもしがちですが、作者の意図や想いが込められていたにせよ、読者によって捉え方や印象が変わるので、言ってしまえば、当然の反応といっていいのかもしれません。皆さんはこの3作品に、どのような印象を抱きましたか?