ファンのあいだでも、「ガンダム」の定義については結論の出ない議題となっています。どう考えてもガンダムじゃないのに「ガンダム」を名乗っているMSは、なにを考えてそうしているのか、事例を見ていきましょう
こちらはMSD、つまりORIGIN版の「水中型ガンダム」。バイザーの奥に「ふたつ目」が光る。「HG 1/144 水中型ガンダム」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
【定義】「完全なガンダム」名乗っておいてザクやんけ! ほかまだまだある「ガンダムを名乗るガンダムじゃないMS」をチェックする!(6枚)
「ガンダム」のネームバリューがパねぇ、というお話
「ガンダム」シリーズには、「ガンダムを名乗っていないのに中身はほぼガンダム」なモビルスーツが存在する一方で、「ガンダムを名乗っているけどガンダムじゃない」ものも存在します。
RAG-79-G1 水中型ガンダム
「水中型ガンダム」は、そのような「ガンダムを名乗っているけどガンダムじゃない」機体のひとつです。メカニックデザイン企画「M-MSV」が初出の水陸両用試作型モビルスーツで、「ガンダイバー」という呼称も一部で見られます。
顔も名前も「ガンダム」ではありますが、型式番号にあるように「アクア・ジム」の再設計機という設定です。エースパイロット用にチューンナップしようとしたところ、頭部パーツがガンダムに似てしまったので「もうガンダムでいいや」となったとか。「ガンダム」の定義って本当、なんなのでしょうね。
なお、『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』の世界観におけるメカニック企画「MSD」にも「水中型ガンダム」がラインナップされ、そちらでは正式に「ガンダイバー」の別称が設定されました。また、同企画に登場する「局地型ガンダム」からフィードバックされたデータが設計に盛り込まれているといい、「アクア・ジムの系列ながらガンダムを名乗ってもおかしくない機体」ということになっています。
RX-121 ガンダムTR-1[ヘイズル]
水中型ガンダムが「再設計したらガンダム顔になった」一方で、意図的に「ガンダム顔に寄せた」という機体も見られます。メディアミックス企画『ADVANCE OF Z ティターンズの旗のもとに』に登場する「RX-121 ガンダムTR-1[ヘイズル]」は、そうした機体の一例です。
TR-1は、ティターンズの「RGM-79Q ジム・クゥエル」のボディにガンダムの顔を載せたもので、言ってしまえば実質「ジム」であり、作品や資料によってはジムの系列機に分類されています。
なぜ、わざわざ頭をすげ替えるようなことをしたのかというと、端的にいえば「ガンダム顔なら脅しが効くんじゃね? というアイデアの検証のため」と説明されています。そういえばシリーズ最新作『戦場のレクイエム』でも、ガンダムという名前だけでジオン兵は震え上がっていました。「白い悪魔」の二つ名は、伊達ではありません。
RGM-79/GH ガンダムヘッド
TR-1と同様、「顔だけガンダムなジム」のひとつとして、マンガ『機動戦士ガンダム サンダーボルト』(原案:矢立肇、富野由悠季/作画:太田垣康男/小学館)に登場する「RGM-79/GH ガンダムヘッド」が挙げられるでしょう。ただ、名前からして「顔だけガンダムですよ」と表明しているため、「ガンダムを名乗っている」とはいえないかもしれません。
一年戦争のア・バオア・クー攻防戦に配備されていたといい、やはりTR-1と同じく、ガンダムの威を借るために顔だけすげ替えられたようです。ただその後、本機は「陸戦型ガンダムS型」へ改修され、型式番号も「RX」が振られ、いわゆるガンダムタイプの機体のひとつになりました。ホント、「ガンダム」の定義ってなんなのでしょうね。