歩き方がゆっくりになった70代の母を見て、しんみりとした作者。しかしそんな母が若い頃と変わらず、まるで忍者のような素早い動きで姿を消してしまい……。Instagramで公開されたマンガが、「まさにクノイチ!」「可憐な行動ですね」と話題になった、作者の花池すずさんにお話を聞きました。
マンガ「70代の母の変化」のカット(花池すずさん提供)
【マンガ本編】老いた母、歩き方がゆっくりに… と思ったら、娘の前から突如消える!?
歩き方がゆっくりになった母が突然消えた!?
歩き方がゆっくりになった母を見て思ったことについて描いたマンガ「70代の母の変化」が、Instagramで4500以上のいいねを集めて話題となっています。
上京した両親と一緒に東京観光。歩き方がゆっくりになった70代の母を見て、作者はしんみりとした気持ちになりました。母の歩幅に合わせて一緒に歩いていると、母が突然、忍者のように素早く姿を消して……。読者からは、「まさにクノイチですね」「私の母もこの前、同じ理由で突然消えました(笑)」「体力が落ちていく親の姿、胸がギュッとなりますよね」などの声があがっています。
このマンガを描いたのは、主婦の花池すずさんです。Instagramやブログ「花池すずのこんなもんさ」などでマンガを発表しています。花池すずさんに作品についてのお話を聞きました。
ーーお母様の行動が昔に比べて遅くなったと感じたとき、どのように思いましたか?
私が小さい頃は母の方がだんぜん早く、私が大きくなってからは一緒のペースで歩いていたので、少し悲しい気持ちになりました。母が歳をとったことを再認識し、しんみりとした気持ちになりましたね。
ーー歩幅を合わせて歩いてあげたとき、お母様は何かいっていましたか?
歩幅を合わせたことに関しては何もいっていませんでしたが、私の小学生の娘が一緒に手をつないで歩いたので、楽しそうにしていました。
ーー姿を消したと思ったお母様がトイレから戻ってきたとき、お父様や旦那様は何かいっていましたか?
父は母の行動に慣れているので、特に何もいっていませんでしたが、夫は「見つかって良かった~」と安心していました。母は「ふふっ」とほほ笑んでいましたね。
ーートイレ以外にも、お母様が突然、忍者のように姿が見えなくなったことはありますか?
2024年の夏に実家に帰省したときの話なのですが、夜、少し前までキッチンにいたはずの母がいつの間にか「サササッ」とどこかへ消えてしまったんです。私の娘と「ばあちゃん、どこに行ったのかな?」と探したところ、寝室から寝息が聞こえてきました(笑)。
ーーこの作品を描くときに、こだわったポイントを教えて下さい。
いつもマンガを描く際は、最後に「クスッ」と笑ってほしいという思いで描いています。この作品も、「母の歩く速度が遅くなっていた」という事実だけで終わらせず、まるで忍者のように素早くトイレへ向かう母の姿を描くことで、少しでも皆さんに楽んでもらえるような作品になるように心がけました。
ーー作品について、どのような意見が寄せられていますか?
「親の体力が落ちているのを感じると、胸がギュッとなりますよね」「うちの母も最近よく転ぶので心配」などのコメントがありました。なかには、「トイレに行くときは、できればひと言いってほしいですね」「急にいなくなられると、心臓止まる(汗)」というコメントもありました。
ーー今回のマンガを描いたきっかけを教えて下さい。
久しぶりに両親と会うときは、毎回ちょっとした「老い」を感じ、なんともいえない複雑な気持ちになるんです。「この気持ち、読者の皆さんにも分かってくれる人がいるのではないか」と思って描きました。Instagramに投稿したところ、思っていたよりも反響が大きかったので、「みんなも私と似た気持ちになることがあるのかも」と、しみじみ感じました。