数あるアニメ映画のなかには、グロテスクなシーンや精神に訴えかける描写など、人によってはトラウマを植え付けられる場面のある作品も存在します。そのような表現があるといわれる映画には、どのような描写があったのでしょうか。



辛い境遇のなかで、登場人物たちが徐々に仲を深める姿も見どころ。『かがみの孤城』メインビジュアル (C)2022「かがみの孤城」製作委員会

【画像】え…っ? 「ポスターも下ネタかよ」「そりゃR指定だわ」 こちらが「やり過ぎ」なアニメ映画です(8枚)

少年少女の抱えるトラウマがリアルすぎ?

 毎年何本も公開されるアニメ映画のなかには、グロテスクなシーンや「鬱展開」によって観る人にトラウマを残す作品もあります。世界的名作と言われる作品でも、観てみると目をそむけたくなるシーンが描かれている場合もありました。

『AKIRA』

 大友克洋氏による同題マンガが原作の『AKIRA』は、第三次世界大戦勃発後のネオ東京を舞台に、世界に大きな影響を与える存在「アキラ」をめぐる物語です。大友氏自らが監督を務め、製作期間3年、総製作費10億円をかけて、1988年に劇場版アニメとして公開されました。

 近未来的なビル群と昭和の日本風景が入り混じる独特な世界で、主人公「金田正太郎」や「島鉄雄」を中心に暴走族や超能力者、軍隊が入り乱れるアクションが展開されます。序盤のバイクチェイスでも痛々しいシーンが多く、さらに物語が進むと、超能力に覚醒した鉄雄が暴走し、内臓が露出するなど痛ましい描写も多く描かれていました。

 とりわけトラウマ級といわれているのが、鉄雄が能力を制御できず周囲を巻き込んで肥大化するシーンです。鉄雄のガールフレンド「カオリ」が押しつぶされ、「カオリが死んでいく! カオリの痛みが俺のなかに入ってくる!」と叫ぶ鉄雄の姿は、見ているだけで苦しくなる描写でした。

 視聴者からは「カオリのシーンが近づくと動悸がする」「超名作だけど幼少期のトラウマで子供には見せられない」「作画がすごすぎてトラウマシーンが余計にこびりつく」と語られるほど、強烈なインパクトを残しました。

『かがみの孤城』

 辻村深月氏のベストセラー小説を映画化した『かがみの孤城』は、鏡を通して異世界の孤城に集められた中学生男女7人の孤独や友情を描いた物語です。狼の面をかぶった少女「オオカミさま」から、「見付ければどんな願いもかなう」という鍵を探すよう告げられた彼らは、城でともに過ごしながら心を通わせていきます。

 学校で孤立していた主人公「こころ」をはじめ、登場人物たちはそれぞれに問題を抱えており、こころが明かした過去のシーンでは、同級生が集団で自宅に押しかけ、窓越しに彼女を罵倒するショッキングなシーンもありました。視聴者からも「マジで恐怖だった」「最近見たなかで1番ショッキングなシーンだった」などという声が見られます。

 クライマックスでは、登場人物たちのトラウマがいっせいに明かされると、いじめや親との確執、子供への性的虐待などリアルな社会問題が描かれ、重厚な余韻を残します。細やかな心理描写と容赦ない悪意が描かれ、視聴者の心を揺さぶる作品です。

『パプリカ』

 筒井康隆氏の同題小説を原作とする『パプリカ』は、他人と夢を共有できる装置「DCミニ」が盗まれ、現実と夢が混ざり合う世界を描いた作品です。DCミニで患者の治療を行うセラピスト「千葉敦子」は、その悪用を防ぐため犯人探しに奔走します。

 作中では登場人物が発狂して飛び降りたり、異形の姿の者が空から落ちたりと、衝撃的シーンが多々出てきました。とくに、人形や家電、宗教的な像が動き出す夢のパレードは視聴者に「絶妙な悪夢」と評されるほどで、不気味な映像がトラウマとして残ります。

 どこか狂気すら感じられる独特な世界観は「子供の頃に観てトラウマ植え付けられた」「この世で1番怖い映像かも」と、理解できない部分含めて恐怖を感じた人が多いようです。