元警察官のセクシー女優が筋トレに出会い、プロレスラーに転身した話。

表舞台に立つ仕事が自分に合っているのか、悩むこともある

——なぜ、セクシー女優と並行してプロレスラーの仕事をしようと思われたのでしょう?

筋トレのために通っていたジムでP.P.P. TOKYOの代表の三富.兜翔さんと出会い、「せっかく筋トレしているんだから、この成果を仕事に活かしなよ」とすすめられたんです。プロレスの知識は一切なく、観戦経験もありませんでしたが、「やったことのないことに挑戦してみたい」と思ったんです。

2021年1月から約8カ月間、P.P.P. TOKYOで練習生としてプロになるためのトレーニングをして、2021年9月にプロレスラーデビューしました。

——トレーニングは順調に進みましたか?

いえ、本当に大変でした。特に「受け身(地面に投げられた際の防御体制)」の練習が辛かったです。

私は警察学校時代、柔道で黒帯を取りましたが、柔道と違って、プロレスは技によっては1m以上の高さから投げられたりもします。受け身でミスをして、頭からリングに落ちて脳震盪を起こしたことも。

痛くて辛くて、三富さんに何回も、「私もうプロレスできないです、無理です」と泣きながら電話しました。

——そこまで辛い中、なぜ続けられたのでしょうか。

痛みや恐怖は、実はトレーニング中の方が強くて。試合中は、アドレナリンが出ているせいか痛みを認識しにくく、どんどん次の技へ進むので、気付いたら試合が終了しています。

あとは「誰かにやらされている訳ではなく、自分の意志でやり始めたのだから頑張ろう」という気持ちでしたね。愚痴愚痴言っていても仕方ない。体を動かして練習しよう!と思いました。

——ちゃんよたさんにとって、プロレスの魅力はどんな点ですか。

普通の人じゃできない、超人的な技を出したり受けたりするところですね。「場外乱闘」といって、相手にリングの外に投げられたらそのまま観客席のすぐそばで戦うこともあるんです。

「表舞台に立つ」という意味では、セクシー女優やYouTuberと通じる部分があると思います。

——表舞台に立つお仕事が好き、ということですか。

もともと「筋トレ」や「YouTubeの編集作業」のように一人で黙々と進めるものが好きなので、悩むことはあります。表舞台に立つ仕事が本当に自分に合っているのかな?って。悩みながらも頑張って続けている、というのが正直なところです。


撮影:村下真一

ただ、たとえばセクシー女優に挑戦していなかったら今の私はありません。セクシー女優の私がプロレスをすることには賛否両論がありましたが、セクシー女優だったからこそ、プロレス界で名前を知っていただけました。あの時、自分の興味の赴くままに一歩踏み出してみて良かったです。

——警察官時代と現在では、どんな心境の変化がありますか。

警察官時代までは、いい会社に就職して結婚するのが幸せな人生だと思っていました。幼いころから母にそう言われてきたんです。

でも今は、幸せってそれだけじゃないなと気付きました。私にとっての幸せは多分、「その時、その時のやりたいこと」を生活の主軸にすること。私が一番やりたいことは筋トレで、それを主軸にプロレスラーやYouTuberの仕事ができている今はすごく幸せです。

筋トレって、やるたびに“自分に勝った体験”が積み重なるんですよ。私は自己肯定感が低かったのに、筋トレのおかげで自分に自信がついたんです。人生は有限。セクシー女優引退後は、プロレスとトレーニングを本業にしつつ、空いた時間を筋トレに充てていきたいです。

(文:原由希奈 写真提供:ちゃんよたさん)