クラウド制作プラットフォーム「Creators’ Cloud」
「Creators’ Cloud」は、クラウド上で効率的なコンテンツ制作・共有・配信を実現するプラットフォームである。報道やスポーツ番組制作、コンテンツ管理に最適な制作ワークフローが紹介され、特に新しい報道ファイルベースシステムパッケージ「Contents Production Accelerator」が注目を集めた。
ライブ配信ソリューション
クラウドスイッチャー「M2 Live」を中心に、スポーツやイベントのライブ配信ワークフローがデモンストレーションされた。M2 Liveの最新バージョン1.4が国内初展示され、ユーザーフィードバックをもとに機能が強化されている。特に、クリップトランジションやタリースタート、Clip Player機能が向上し、スムーズな操作が実現している。また、ストリーミング対応カメラのリモート伝送機能や回線制御アプリ「Live Link Control」も初めて公開され、クラウドを介した制作スタイルが展開された。
ワークフロー自動化ソリューション
AI映像解析サービス「A2 Production」のV1.4アップデートにより、映像制作ワークフローの自動化がさらに進化していた。画像キャプションエンジンは物体や状況を認識し、メタデータを付与することで、直感的かつ高度な解析を可能にする。
音声ノイズ検知エンジンが導入され、配信ストリームの音声品質をリアルタイムで監視し、異常を検出。これにより、音声トラブルを防ぎ、安定した配信が可能となる。さらに、映像ストリーム入力のAPI対応により、ライブ解析や配信サービスとの連携が強化され、今後の活用が期待される。
報道ファイルベース&素材伝送ソリューション
クラウド素材伝送サービス「C3 Portal」を使い、報道制作のスピードと効率を向上させるソリューションが紹介された。カムコーダーとの連携デモでは、カメラマンが意識することなく容易に素材伝送でき、編集機での追っかけ編集連携も注目された。
また、ネットワークRXステーション「PWS-110RX1A」の後継として、ソフトウェア版「PWA-RX1」が登場し、SDIボードを搭載したワークステーションにアプリをインストールすることでストリーミング受信サーバーとして使用可能となる。
さらに、新しい報道ファイルベースシステム「Contents Production Accelerator」が参考出展されている。仕様が標準化されたパッケージ型を採用することで、導入時の納期短縮や費用軽減に加えて、定期的にバージョンアップが提供される点が特長となる。
たとえば、システム更新を待たず、必要なタイミングで最新のイノベーションを導入でき、近年、高まっているセキュリティリスクへの対策を強化できることが紹介された。記者端末やタブレット端末から素材確認できる「Webプレビュー」機能や、伝送中の素材を先行編集できる「時差インポート」機能、AIやクラウドとの連携など、2025年度から順次リリースが予定されている。
コンテンツ共有&制作ソリューション
「Ci Media Cloud」を活用したコンテンツの共有や制作の利便性が向上するソリューションが発表された。カメラからの素材伝送、レビュー、共有、クラウドアーカイブに至るまで、使いやすい1つのプラットフォームでワークフローが統合できることが紹介された。
編集機との連携機能として、Adobe Premiere Proに加えて、新たにDa Vinci Resolve向けプラグインのリリースが発表されており、編集側との修正指示がスムーズに行えるようになることが期待される。また、Pomfort SilverstackやReeltime Proと連携した、撮影素材のリモートプレビューや、新たに日本語対応となった「Ci Workflow」機能による、ポストプロダクションとの連携ワークフローも紹介されている。新しい制作フローの可能性が示されており、興味深い展示となっている。
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バーチャルプロダクション
CineAltaカメラ「VENICE 2」とシステムカメラ「HDC-F5500」を使用したマルチカムバーチャルプロダクションのデモを通じて、バーチャルプロダクションのワークフローをさらに向上させる最新ソリューションが展示された。
Virtual Production Tool Set 新バージョン
「Virtual Production Tool Set」の最新バージョンでは、Camera and Display pluginとColor CalibratorがそれぞれVer 2.0へとアップデートされ、これまでVENICEシリーズ専用だったカメラがBURANO、FR7、HDC-3500、HDC-5500、F5500と対応機種を大幅に増加し、Epic VCAMアプリケーションにも対応するなど、活用の幅と使い勝手が向上した。
さらに、新機能「Live Camera Sync」により、対応カメラとUnreal上のバーチャルカメラの各種設定を連動させ、レンズのZoom、Iris、Focus情報をカメラ側から取得して連携を取ることが可能になった。この機能により、従来のレンズエンコーダーを排除し、バーチャルプロダクション制作の機材点数削減と効率化が実現される。なお、このVer2.0から一部の機能が有償ライセンス提供とのこと。
バーチャルプロダクションステージ
バーチャルプロダクションステージでは、マルチカムのデモンストレーションを実施する。2台のカメラにXRシステムを組み合わせ、LEDの外周部分にも3DCGの背景が延長して見える仕組みを実演する。デモンストレーション時には、LEDに本線用背景とグリーンバックを表示し、グリーンバックも同時に撮影する。ソニー製ビデオスイッチャー「XVS-G1」にてクロマキー合成を行い、本線以外のカメラマンにも画角が正しくわかるようリターン信号を生成・表示するデモが行われていた。現場でのトラブル軽減や効率化が期待できる展示であった。
Crystal LED for バーチャルプロダクション
「Crystal LED VERONA」は、高水準の黒レベルと低反射を両立し、リアルな映像を再現する高画質LEDディスプレイ。
主な特長として、リアルな仮想空間を創り出す高画質性能を持ち、クリエイターや制作現場の要望に応える柔軟な設置性と操作性が挙げられる。また、高いメンテナンス性能と低ランニングコストも特徴である。
世界初の商用VPスタジオでVERONAを採用した角川大映スタジオ「シー・インフィニティ」や、ロンドン芸術大学「UAL」などでR&Dに利用されている。バーチャルプロダクション以外にも、国内JVRA各社へのレンタル採用により、イベントや展示会、ホテルの宴会場、明るいエントランスなど多様な用途で活用される予定だという。